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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ウクライナに関する安保理閣僚級討論における林外務大臣ステートメント

[場所] 
[年月日] 2023年2月24日
[出典] 外務省
[備考] 和文仮訳
[全文] 

1 冒頭:侵略から1年

 議長に対し、このような重要な会議を開催いただいたことに感謝いたします。また、事務総長やブリーファーの皆様に対しても謝意を表します。

 一年前の今日、まさにこの安保理議場において、ウクライナに対する侵略をいかに防止するかの議論が行われている最中に、各理事国の眼前で、常任理事国であるロシアがウクライナへの侵略を開始しました。

 これは安保理と国連全体に対する侮蔑です。ロシアがいかに国連を軽視しているかを示しています。

 あの時、グテーレス事務総長がロシア指導者に呼びかけた言葉を私は鮮烈に覚えています。「プーチン大統領よ、軍事作戦を停止せよ。ロシアに軍を戻せ。」。その声は私の耳に未だに鳴り響いています。

 この事務総長の呼びかけは、一部を除く加盟国の総意であり、また、昨日採択されたものを含む総会決議や国際司法裁判所の暫定措置命令にも反映されています。

 1年が経過した今でも、我々が未だに同じ呼びかけを繰り返さなければならないのは遺憾です。

2 日本の基本的立場

 日本はウクライナに対するロシアの侵略を、可能な限り最も強い言葉で非難します。これは、国際の平和と安全の維持に最も重い責任を負うべき安保理常任理事国による国連憲章を含む国際法の明白な違反であります。

 ロシアは、侵略戦争を直ちに停止し、ウクライナから軍隊と軍備を撤退させ、国際的に認められた国境内でのウクライナの独立、主権及び領土一体性を尊重しなくてはなりません。いかなる国も、力や威圧によって国境を書き換えることは許されません。

 日本はまた、ロシアの重要インフラに対する攻撃を非難します。無辜の市民に対する無差別攻撃は、国際人道法違反であり、戦争犯罪を構成するものです。

 ロシアの無責任な核のレトリック及びザポリッジャ原発の奪取と軍事化もまた非難されねばなりません。私は、同原発の原子力安全と核セキュリティを確保するための国際原子力機関(IAEA)の活動を称賛し、完全に支持します。

 我々は国際法に従ってロシアの責任を問わねばなりません。

3 ウクライナとの連帯

 我々は断固としてウクライナとともにあります。私は、ゼレンスキー大統領が、平和フォーミュラの中で基本原則を示し、国連憲章に規定された諸原則に沿って包括的、公正かつ永続的な平和を促進するとの真摯な取組を歓迎します。

 最後に、世界のどこであれ、力や威圧によって領土の地位を変更しようとするいかなる試みは断固として拒否されねばならないことを再度強調いたします。同時に、安保理が、ウクライナに対する侵略の結果として、対処すべき他の多くの問題を置き去りにすることもあってはなりません。

 1945年以来、加盟国が築きあげてきた揺るぎない原則に立ち戻ろうではありませんか。法の支配のために結集しましょう。平和のための法の支配を擁護しましょう。

(了)