[文書名] ジョージタウン大学女性・平和・安全保障研究所、笹川平和財団主催『女性、平和、安全保障における男性の参加』シンポジウムにおける上川外務大臣ビデオ・メッセージ
ジョージタウンWPS研究所及び笹川平和財団主催、国連日本政府代表部及び同米国政府代表部共催による「女性、平和、安全保障における男性の参加」シンポジウムの開催に、祝意を表します。
また、本日のシンポジウムの主催者でありモデレーターを務めるメレーン・バービア大使に敬意を表します。私は、バービア大使との出会いがきっかけとなって、国際社会で急速に主流化してきたWPSの重要性に気付き、触発され、WPSアジェンダの推進に力を注ぐようになりました。この場をお借りし、WPSアジェンダの世界的主流化促進におけるバービア大使のたゆまぬ御努力に、改めて感謝と敬意を表したいと思います。
私は、外務大臣に就任する以前から、WPSアジェンダの推進に力を注いできました。昨年10月、WPS議会人ネットJAPANを立ち上げました。そして、本日の主催者である笹川平和財団とジョージタウンWPS研究所をWPS議会人ネットJAPANの「国際連携パートナー(International Collaboration Pa rtners)」として、共に活動を続けてきました。
そして先月、約20年ぶりに女性の外務大臣として任命されました。それ以来、国連ハイレベルウィークや東南アジア諸国を歴訪し、国際会議や会談の中で、自然災害及び人的惨事におけるWPSの理念の重要性を主張してきましたが、お会いした方々からもみな良い感触が得られました。
本日のシンポジウムは、「WPSアジェンダを進展させるために、男性の協力をいかに引き出すか」がテーマと伺っております。2000年の国連安保理決議第1325号の採択以降、我々は、様々な成果を目の当たりにしてきました。
― 和平プロセスや平和構築における女性参画の拡大
― WPSアジェンダの推進のための様々な国際的枠組み
― 安全保障政策におけるジェンダー主流化に向けた世界的な潮流
そして、それに対する支持も広がっています。同時に、この重要な取組を次の次元に引き上げるためには新しい発想が必要であり、この点において、男性の視点は非常に重要です。例えば、日本の第3次行動計画では、特に男性の参画の必要性に言及し、男性へのアドボカシーを強化することを重要な行動として挙げています。更なる多様性のために、若者の視点を取り込んでいくことも重要です。また、日本の行動計画の特徴としては、自然災害等に由来する防災分野における意思決定の中での女性のリーダーシップの役割を高めるとの内容を盛り込んでいる点が挙げられます。
日本は、自然災害の経験、そして、女性政治指導者の数が少ないという問題を含め、従来の性別役割分業の考え方がまだある中で、女性のリーダーシップと男女平等を推進することに苦心してきました。だからこそ、日本はこの分野で他国が直面している具体的な課題に対して、より積極的な役割を果たし、協力して取り組むことができると考えています。こうした考えの下、私は外務大臣として、全ての国、インド太平洋地域やグローバル・サウス、特に本年が日本との友好協力50周年であるASEAN諸国との間で、互いに学びながらより平和な世界を共に創っていく決意をもって、WPSアジェンダを更に推進していきたいと思います。
本日のシンポジウムが、各国政府及び市民社会団体が手を携えて、WPSアジェンダを世界各地で推進するためのモデルとなることを願うとともに、本日のシンポジウムの成功を祈念いたします。
ありがとうございました。
(了)