[文書名] 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP) 第7回アジア太平洋人口会議 上川外務大臣ビデオメッセージ
御参加者の皆様、
第7回アジア太平洋人口会議の開催に祝意を申し上げます。開催に御尽力いただいた主催者の皆様に感謝致します。
昨年11月、世界人口が80億人に達しました。人口問題は、人間、社会、経済の発展のあらゆる側面に影響を与え、社会の在り方に直結します。人口問題はSDGsの全ての目標と関連し、SDGsの達成には、人口問題に関する観点を取り入れることが不可欠と考えます。
2013年に行われた前回の会議以降、アジア太平洋地域は社会経済的な発展も相まって、保健やジェンダー平等等についても進展がみられました。日本政府も国内と国外の両面で取組を進めてきました。ごく一例をあげれば、日本はアジア太平洋地域の中でも急激に少子高齢化が進行していますが、高齢化に対しては、健康寿命の更なる延伸、少子化については結婚、妊娠・出産、子育て支援等に取り組んできています。
しかし深刻さが増す気候変動や、新型コロナウィルスをはじめとする感染症は、人々の生活の根本に負の影響を与え続けています。とりわけ、難民をはじめとする脆弱な立場に置かれた人々は、度重なる自然災害や紛争も相まって、水、衛生、食料、電力等、ライフラインへのアクセスに大きな困難を抱え、結果、人口動態にも影響を与えています。ESCAPが、移民の人口動態を含め、こうした大きな観点から議論を深め、本会議をはじめ更に対話やキャパビルなどの取り組みを強化していくことを支持します。
このような変動が激しい状況に対応するためには、様々な政策を貫く基本的な視座が必要です。それこそが日本が開発協力の指導理念と位置づけ、国際的に主導してきた「人間の安全保障」だと考えます。すなわち、脆弱な人々も安全・安心に住める世界、「人間の尊厳」が守られる世界を実現することが重要です。
また、この「人間の安全保障」を実現するために、最も基礎的な条件となるのが人の命そのものへの支援である、保健システムの強化や感染症対策を含めたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、すなわちUHCの達成です。日本は長年、このUHCの主流化を主導してきました。
「人間の安全保障」そしてUHCの推進を通じ、来年の国際人口開発会議30周年を見すえ、日本はますます多様化する人口にかかる議論と国際協力に貢献していきます。
ありがとうございました。
(了)