[文書名] 天皇誕生日祝賀レセプションにおける上川外務大臣挨拶
令和5年度天皇誕生日祝賀レセプションでの上川外務大臣挨拶
御列席の皆さま、本日は天皇誕生日祝賀レセプションに御出席いただき、ありがとうございます。本日、皆さまと一堂に会してこの佳き祝賀の機会を共有できることを大変嬉しく思います。
2月23日、天皇陛下におかれましては、64歳の御誕生日をお迎えになります。この一年間も、天皇陛下は日本国と日本国民の統合の象徴として、皇后陛下とご一緒に、日々国家と国民のために尽くされ、国民と喜びや悲しみをともにされてこられました。元旦に発生した能登半島地震においても、被災者に思いを寄せられ、一日も早い復興に心を砕かれておられます。
震災の直後から、各国の皆様、そして本日ご列席の大使の皆様から温かいお見舞いのメッセージが寄せられ、また、支援のお申し出を頂きました。外務大臣として改めて心より感謝申し上げます。
陛下におかれましては、ご即位後初めてとなる外国への親善訪問として、昨年6月に、皇后陛下とご一緒にインドネシアを御訪問されるとともに、11月にはキルギスの大統領ご夫妻やベトナムの国家主席ご夫妻の公式実務訪問にあたり、4年ぶりに宮中で外国の賓客を招いての午餐を催されるなど、国際親善にも積極的に関わられておられ、誠に有難く存じます。
ここに、皆さまと共に天皇陛下のお誕生日を心からお祝い申し上げたいと思います。
さて、現在、国際社会のパワー・バランスが急速に変化し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序に挑戦する動きも続くなど、世界は歴史の転換点にあります。さらに、本年は、世界各地で重要な選挙が行われ、国際関係にも大きな変化をもたらすことが予想される一年となります。
このような中、我が国は、全ての人が平和と繁栄を享受できるよう、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、「人間の尊厳」が守られる安全・安心な世界を実現するための外交を引き続き推進してまいります。そのためには、同盟国・同志国を始め、幅広いパートナーとの協力が不可欠です。
私(大臣)自身、先月はウクライナを訪問し、侵略の生々しい傷跡を自分自身の目で見て、力による一方的な現状変更を決して認めてはならない、そして、戦争において特に脆弱な立場にある女性や子どもたちを守り、「人間の尊厳」が確保されるよう取り組まなければならないと決意を新たにしました。続いて訪問した欧州各国、米国、カナダ、トルコとの間では、ウクライナ支援や中東情勢への対応等喫緊の課題も含め、二国間、多国間の連携の重要性を確認してまいりました。
本年、我が国はOECD閣僚理事会の議長国を務めます。また、第10回太平洋・島サミット、TICAD閣僚会合など重要な国際会議を開催する予定です。私もちょうど一昨日(12日)にフィジーで開催された島サミットの中間閣僚会合に参加してまいりました。これらの機会も通じて、多くの国・地域との関係を更に発展させ、国際社会から日本外交に寄せられる高い信頼や期待に応えるべく、私自身全力で取り組んでまいります。
本日は、東北の被災地から取り寄せた食材や風評被害の影響を受けた食材を使った魅力あふれるお料理と共に、先般の震災の被害を受けられた能登半島や私の地元の静岡県の日本酒、またawa酒{あわさけとルビあり}協会様からご提供いただいた日本酒もとり揃えております。ぜひ、ご堪能ください。
それでは、皆さまと共に、天皇陛下の一層の御健勝と皇室の御繁栄、御列席の皆さまの御健勝を祈念して、ここに杯{はいとルビ}を上げたいと思います。乾杯。