[文書名] 上川外務大臣の「日・ウクライナ経済復興推進会議WPSセッション」における基調発言
上川外務大臣の基調発言(WPSセッション)(2月19日(月))
1. 冒頭(「再統合」の必要性)
・ユルチェンコ地方自治体・国土・インフラ開発次官、
コザーニ・ホライズン・キャピタル社共同創業者兼CEO投資委員会委員長、カルボウスカ・ウクライナ女性基金戦略開発ディレクターはじめ、本日お集まりいただいた皆様に感謝申し上げます。また、本セッションに際して、ビデオメッセージを寄せていただいたスヴィリデンコ第一副首相兼経済相に感謝申し上げます。
・1月7日、私(大臣)は、新年最初の訪問先としてウクライナを訪問し、引き続きウクライナを強力に支援していく旨をゼレンスキー大統領やシュミハリ首相、クレーバ外相に対して直接伝えました。
・また、ウクライナ、ポーランドにて紛争の中で苦しむ女性や子どもたちの大きな不安の声を直接聞き、その後訪問した欧州・北米においても、ウクライナ支援に女性・平和・安全保障、いわゆるWPSの視点をどう取り込んでいくかについて議論し、各地で多くの支持・賛同を得ました。
・スウェーデンにおいて意見交換を行ったフォルケ・ベルナドッテ・アカデミー(FBA)からは、この会議に向けWPSの視点を踏まえたウクライナ支援に関する提言を頂き、感謝申し上げます。ネットワークが広がりパートナーが世界各地にいることを、大変心強く感じております。
・そうしたやり取りを通じて、私は、ウクライナ国民の3つのレベルでの「再統合」が重要と確信しました。
*第一に、家族の「再統合」です。ウクライナの多くの家庭で父親や息子、兄弟が戦場に赴き、女性や子どもたちは他国への避難を余儀なくされています。離ればなれの家族が、再び共に過ごせる安全・安心な環境を取り戻さなければなりません。
*第二に、コミュニティの「再統合」です。ウクライナの各地で街が破壊され、コミュニティがばらばらになってしまいました。人々が、住み慣れた元のコミュニティに戻り営みを再開できるよう、街づくりを含めた環境整備が重要です。
*第三に、国民全体の「再統合」です。ウクライナが再び美しい大地を取り戻し、国全体が活力ある成長を遂げるためには、女性のリーダーシップ、そして未来を担う子どもたちの力が不可欠です。誰もが挑戦し、活躍できるより良い環境を整えていかなければなりません。
2. 「再統合」に向けた3つの考え方
・このような「再統合」という大目標に向けて、以下
の3つの考え方を重視しています。
・第一に、ウクライナの人々に寄り添った、自立的な発展を支援することです。初期の緊急人道支援から中長期的な生活再建、復興・産業高度化のフェーズに至るまで、女性や子どもたちを含むウクライナの人々に寄り添い、WPSの視点を踏まえた具体的な取組を推進します。
・第二に、官民一体、オールジャパンの支援です。午前中のセッションで岸田総理も述べましたが、民間企業やNGOの皆様を含めたマルチステークホルダーパートナーシップアプローチによるオールジャパンでの取組が重要です。
・第三に、G7をはじめとする国際社会のパートナーとの連携です。私(大臣)自身、昨年9月に外相に就任して以降、G7外相会合の議長として、ウクライナの問題に取り組み、WPSに関しても各国外相と議論を重ねてきました。こうした取組を基盤に、6月のドイツでのウクライナ復興会議との連携も念頭におきながら、各国・国際機関・市民社会と共に取組を進めていきます。
3. 日本のウクライナ支援におけるWPS関連の取組
・日本は、「WPSinAction」として、理念を形にし、
具体的な取組につなげていきます。
・喫緊の課題として、昨年決定された令和5年度補正予算では、保健医療、シェルター整備やジェンダーに基づく暴力(GBV)の被害者保護を始めとする女性の保護に関する取組が含まれました。
・また、女性のエンパワーメントを通じて人道支援・復興への女性の参画を促すとともに、未来のリーダーへの投資として子どもたちへの教育に係る支援を行うことで、短期から長期まで見据えた活動を行います。
・加えて、本日新たに、日本政府として、ウクライナ避難民の親族の皆さまに数次査証を発給できるようにすることを発表します。
4. 結語
・本日のWPSセッションは、日本のウクライナ支援に
WPSの視点をより深く取り込んでいくための第一歩です。
・本日、会場には、ウクライナを離れ日本に居住されている避難民の方々、避難民を支援されている全心連ウクライナ心のケア交流センター「ひまわり」の皆さんなどにもご参加いただいております。良い議論を期待しています。
・そして、本日の議論を次のステップにつなげていくべく、WPSを推進していくためのプラットフォームとして新たに、ウクライナの象徴である「ひまわり」を冠した「WPSひまわりフレンズネットワーク」を立ち上げます。このネットワークを国際的に広げていくことで、ウクライナの復旧・復興におけるWPSの国際的な取組を前に進めていきます。
・ここにいる皆様には、この取組に是非ご賛同いただき、このネットワークのメンバーとしてともに取り組んでいただくことをお願いし、私のスピーチとさせていただきます。
(了)