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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 公開シンポジウム「危機予防と平和構築〜人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)と女性・平和・安全保障(WPS)の強化に向けて〜」 上川大臣による開会挨拶(ビデオメッセージ)

[場所] 
[年月日] 2024年4月4日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

1 冒頭発言

ご参加の皆様、

●外務大臣の上川陽子です。本日は、「危機予防と平和構築~人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)と女性・平和・安全保障(WPS)の強化に向けて~」という重要なテーマでシンポジウムが開催されることをうれしく思います。

●まずは開催に尽力されたUNDP、共催のUNHCR及びJICAの関係者、

パネリストの皆様、そしてご参加いただいた皆様に感謝申し上げます。

2 情勢認識・日本の基本的立場

●現在、気候変動やパンデミックをはじめとする複合的危機や、ウクライナやイスラエル・パレスチナ情勢等でみられるような平和で安定した国際環境が脅かされている状況が生じています。

●このような困難な状況に対して、我々は三つの視点で対応していく必要があります。

●第一に、紛争予防と平和構築です。これは日本が長年にわたり取り組んできた重要なテーマです。本年3月には、日本の安保理議長月の機会を捉え、平和構築と紛争予防に関する安保理公開討論を主催し、会合後には紛争予防・平和構築・平和の持続への強いコミットメントを再確認する共同声明を発出しました。

●第二に、今回のシンポジウムのテーマでもある「人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)」を一層重視していく必要があります。日本は、昨年決定した新たな開発協力大綱においても、HDPネクサスの考え方の重要性を強調しています。今後、受け入れ国の政策に対するドナー国や市民社会等による支援のマッチング、グッドプラクティスや課題の共有等を通じ、HDPネクサスを推進していきます。

●第三に、HDPネクサスを進めていく上でも欠かせないのが、先ほども申し上げた女性・平和・安全保障(WPS)の視点です。私は、WPSの視点を活かした外交を進めることが、私に課せられた使命の一つとして感じています。

●様々な困難を乗り越えて国連安保理決議第1325号によりWPSの考え方が生まれてから、今年で24年を迎えます。先ほど申し上げたような複合的危機や困難な状況を前にして、WPSに対して新たな息吹を吹き込む必要がございます。その一つの観点が、2000年代前半から日本が強調してきた人道・開発・平和の連携、いわゆるHDPネクサスであると考えます。

●昨年12月に開催されたグローバル難民フォーラムにおいて、私は「人道支援・開発協力・平和の取組のすべてのプロセスにおいて、WPSの考え方を念頭にジェンダーの主流化と女性の参画とリーダーシップを重視していく」ことを宣言しました。また、本年2月の日・ウクライナ経済復興推進会議においても「WPSセッション」を開催しました。

●私は就任以来、「WPS+イノベーション」と銘打ち、様々なステークホルダーの皆様とWPSに関する意見交換を行っています。先月はこの意見交換の第4弾として、NYにおいて、紛争下における女性の保護と多様な分野への更なる参画の必要性等の問題意識について、国連機関や国連代表部の常駐代表等と議論しました。引き続き、我が国としてWPSを外交上の重要な柱として進めてまいります。

●本日のシンポジウムで、まさにこうしたテーマについて議論がなされることは、極めて時宜を得たものであります。

結語

●開発協力を効果的に行う鍵は、民間を含むアクターの多様化、過去の知見の共有、これらを糾合し、課題解決を図る推進力にあります。引き続き、UNDPやUNHCRをはじめとし、ここにお集まりの皆さま方と、知的・戦略的な連携を強化し、骨太な取組をしてまいりたいと考えています。

●本日は、開発現場の声を中心に、紛争予防・平和構築に関する具体例な実例を踏まえたパネルディスカッションが行われると承知しております。活発な議論となることを期待します。

●御清聴ありがとうございました。