[文書名] 2024年第3回ABAC会議 外務省・経済産業省主催レセプション 上川外務大臣歓迎挨拶
御出席の皆様、外務大臣の上川陽子です。東京でのABAC会議が盛大に開催されていることを御祝い申し上げるとともに、ABACの皆様の訪日を心から歓迎いたします。
また、ABACの皆様の平素からの御活動に敬意を表するとともに、開催に尽力された日本ABACの皆様に御礼申し上げます。
1995年の設立以来、ABACは、アジア太平洋地域の共通課題に対し、ヒジネスの視点から様々な有益な政策提言をAPECにおいて行うことで、その存在意義を高めてきました。
このような先進的な官民連携のフォーマットは、他のフォーラムには真似できないAPECの大きな強みといえます。
私は、就任以来、外交を通じて日本の国力、特に経済力を増やすことに寄与したいとの考えの下、「経済外交の新しいフロンティアを拓く」取組を続けてきました。その鍵となるのは新たな時代に対応する強固な官民連携の構築です。
先般、私はラオスで開催された日ASEAN外相会議に参加し、APECの中核的メンバーであるASEAN各国と率直な意見交換を行いました。いずれの国も、我が国の取組を通じて長年にわたり培われてきた我が国への信頼に基づき、日本に高い期待を表明していました。
彼らの熱い期待に応えるためには、ビジネス界を含む多様なステークホルダーを巻き込んで重層的なネットワークを構築することが重要になります。
そのようなネットワークを通じ、地域全体を面で捉え、サステナブルな社会課題解決に向けた協力を進めていきます。ABACとの連携強化もその重要な一環です。
更に、海外において企業が強靱性をもって持続可能な事業を展開できるよう、不透明な国内手続等の是正など企業の視点にたったビジネス環境整備に取り組んでいます。
経済広域担当官制度を新たに創設したのもこのためです。先月、ASEAN地域を広くカバーする担当官も任命するなど、クロスボーダーに活動する日本企業を一層力強くサポートしています。
また、厳しい国際情勢の中だからこそ自由で公正なビジネス基盤の確保が不可欠になります。APECにおける自由で公正な国際経済秩序の確保に向けた各種取組は、世界の成長エンジンであるアジア太平洋地域全体の発展に貢献し、日本の成長にも還元されます。この観点から、ABACによるWTOやFTAAPに関する提言等を歓迎します。
「未来の経済・社会を共創するパートナー」であるアジア太平洋諸国・地域との更なる協力強化をもたらすため、本年のAPECの議長であるペルーとも連携しつつ、ABAC委員の皆様と共に知恵を絞っていきたいと考えております。
特に、「APEC首脳への提言書」を始めとした、ABAC委員の皆様の議論に基づいた具体的なビジネス界による直接の声を賜る機会は貴重です。本年11月のABACとAPEC首脳との対話においても、有意義な意見交換が行われることを期待しています。
御清聴ありがとうございました。