[文書名] 上川外務大臣ステートメント 第11回包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合
御列席の皆様、
第11回CTBTフレンズ外相会合の開催をうれしく思います。
我々は来年、人類初の核実験の実施、そして広島・長崎への原爆投下から80年の節目の年を迎えます。広島・長崎の惨禍を決して繰り返してはなりません。
御承知のとおり、国際安全保障環境は一層厳しさを増し、核軍縮をめぐっても国際社会の分断が深まっており、核兵器数の減少傾向が逆転しかねない瀬戸際に立っています。核実験を再開する国があるのではないかという懸念の声は消えません。北朝鮮は依然として核・ミサイル開発を進めており、更なる核実験を実施する可能性もあります。
しかし、いかに道のりが厳しくとも、我々は歩みを止めるわけにはいきません。我が国は、「核兵器のない世界」に向けた現実的かつ実践的な取組の一環として、核開発に対する質的制限を課すCTBTの重要性を強調し、その普遍化及び早期発効、並びに検証体制の強化を重視してきました。
178か国が締約国となっているCTBTは、核軍縮の分野において、今日、ほぼ普遍的な支持を得ている数少ない具体的枠組みの一つです。我が国は、パプアニューギニアの批准を改めて歓迎するとともに、フロイド事務局長の強いリーダーシップの下、条約の普遍化が進展していることを高く評価します。一方、昨年11月、CTBTの発効要件国であり、かつ署名・批准国の中で最大の核兵器国であるロシアがCTBTの批准撤回を決定したことは、国際社会の長年の努力に逆行するものであり、遺憾です。
我々は、条約発効・普遍化に向けた取組を一層強化しなければなりません。まだそうしていない全ての国、特に附属書2に記載された残りの発効要件国に対し、CTBTに署名し、批准するよう、引き続き強く求めます。また、全ての関係国に対し、条約の発効までの間、核兵器の実験的爆発やその他の爆発実験について、新たなモラトリアムを宣言する、又は、既存のモラトリアムを維持するよう求めます。
我が国は、CTBTの検証制度の一層の強化にもコミットしています。我が国国内に所在する観測施設の維持・強化を進め、国際監視制度(IMS)の一層の充実を図っていきます。
CTBTの完全な普遍化と早期発効を実現するため、我々フレンズ国は一層結束して取り組んでいかなければなりません。我が国は今後も最大限の貢献を果たす覚悟です。ありがとうございました。