[文書名] 第31回日米安保セミナーにおける大臣ビデオメッセージ
今年で31回目の開催となるCSISと日本国際問題研究所による日米安保セミナーの開催に祝意を表したいと思います。
トランプ政権が発足し、非常に早いタイミングで日米首脳会談が行われました。その直後に開催される今回のセミナーは、まさに非常に時宜を得たものです。
首脳会談において、石破総理とトランプ大統領は、日米関係をより一層強化していくことを確認しました。私自身も総理訪米に同行し、両首脳の良好な関係を間近で見ることができました。また、私は先月も訪米し、米大統領就任式に日本の外務大臣として初めて出席しました。そして、承認翌日のルビオ国務長官と有意義な会談を行ったところです。
日米同盟は、我が国の外交・安全保障の基軸です。そして、同盟の力強さを世の中に示す上で、トランプ大統領就任後、日米両国は、最高のスタートを切ることができました。今後とも、あらゆるレベルで緊密に連携をし、日米同盟を更なる高みに引き上げていく考えです。
我々は歴史の転換点に立っており、我々の今日の決定が今後の世界を決定づけます。我々を取り巻く安全保障環境が更に厳しさを増す中、日米共通のビジョンである「自由で開かれたインド太平洋」を実現していくため、日米同盟が果たすべき役割はこれまで以上に大きなものになっています。
このような中、更なる同盟の現代化のため、次の三つの視点が重要だと考えています。
まず、日米同盟の抑止力と対処力を一層強化することです。日米両政府は、時代の変化に対応するための戦略的課題について不断に議論を行っています。
先の首脳会談においても、同盟の指揮・統制の向上、南西諸島のプレゼンス強化、拡大抑止の一層の強化、防衛装備・技術協力の強化といった、日米安保・防衛協力の優先事項について再確認しました。
両首脳で一致した事項を実行に移すべく、可能な限り早期に「2+2」を実施し、自らの手で日米安保・防衛協力をしっかりと前に進めていきたいと思います。
次に、「自由で開かれたインド太平洋」という我々共通のビジョンを実現するためには、同志国との連携が不可欠です。私自身、先月、韓国、フィリピン及びパラオを訪問し、そのための連携を確認しました。
また、先月開催された日米豪印外相会談は、ルビオ長官にとって国務省に到着してからたった1時間後に行われた最初の外交行事でした。このこと自体、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた米国の強いコミットメントを示すものです。こうした取組を続け、実効的な同志国間のネットワークを多層的に構築していきます。
最後に、日米同盟を更に発展させていくためには、新たな時代の要請にも対応していく必要があります。平時と有事の境目が一層不明確になってきている今、政府・民間問わず、様々なステークホルダーと協力しながら、経済的観点も踏まえながら、安全保障に関する議論を深めていく必要があります。
この観点から、経済安全保障に関する議論やビジネスセクターとのセッションといった今回の新たな試みを歓迎したいと思います。インド太平洋の安全保障問題について国際世論を形成する日米の専門家のネットワークの更なる拡大につながることを期待します。
今回のセミナーが実り多きものとなることをお祈りし、私のメッセージと致します。
(了)