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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)第81回総会岩屋大臣ビデオメッセージ

[場所] 
[年月日] 2025年4月21日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

議長、アリシャバナ事務局長、御列席の皆さま、

 日本国外務大臣の岩屋毅です。

 はじめに、3月28日のミャンマー中部を震源とする地震により、亡くなられた方々とそのご遺族に、深くお悔やみ申し上げます。そして、被害に遭われた方々の一日も早いご回復と被災地の早期の復旧を心からお祈り申し上げます。

 ESCAPは、アジア太平洋地域における知見共有や能力構築の場として、重要な役割を果たしてきました。自然災害や環境問題、少子高齢化など多様な社会課題が深刻化し、国際秩序がこれまでになく不安定になりつつある中、その役割はますます重要となっています。

 日本は、アジア太平洋地域がこうした諸課題への対応力を強化し、連携して取り組むことができるようESCAPの活動を積極的に支えています。一例として、国連アジア太平洋統計研修所が、190の国・地域の政府職員に研修を行い、統計分野の人材育成を進めることを支援してきました。

 また、様々な課題に対処する上で、我が国は、人間の安全保障の理念を特に大切にしてきました。このような観点から国内

においては、防災のための国土強靱化や公害対策、少子高齢化に対応する社会保障制度の整備などの施策を進めています。こうした日本の知見は、アジア太平洋地域における様々な課題の解決に資するものであると確信しております。

 今日の世界が直面する困難を克服し、SDGsを達成するためには、我々の協力をさらに加速することが不可欠です。SDGsの達成期限である2030年まで残り5年となりました。日本は先頭に立ってこの挑戦に取り組んでまいります。

 本年、日本政府は、ビジネス界や地方自治体、市民社会、ユースなどの多様な関係者の協力を得て、SDGsに関する「自発的国家レビュー」を進めています。こうしたレビューを通じ、各国が直面する課題の解決に向けて、日本の知見を国際社会に積極的に還元していきたいと考えています。

 引き続きESCAPと緊密に連携し、アジア太平洋地域における知見の共有と、各国における能力構築に一層貢献していく考えです。

 御清聴ありがとうございました。

(了)