[文書名] UHCフレンズグループ閣僚級会合 岩屋外務大臣の挨拶
1 冒頭
●シーハサック・タイ外務大臣、ダルサリア・ジョージア外務次官、テドロスWHO事務局長、
●御列席の皆様、本日はお集まりいただき心より感謝申し上げます。本年も、タイ、ジョージアと共にユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)フレンズグループ閣僚級会合を共催できることを嬉しく思います。
●近年、国際保健をはじめとする地球規模課題は、極めて厳しい局面にあります。
●エイズ、結核、マラリアといった三大感染症の脅威は依然として深刻であり、加えて、新興感染症の発生や、非感染性疾患(NCDs)の疾病負荷も増加しています。
2 UHC達成の重要性
●日本政府は、国際保健を外交の柱の一つに位置付けています。
●そして、人間一人ひとりの生存、生活、尊厳を守り、「人間の安全保障」を実現すべく、UHCの達成に向けた取組を一貫して推進してきました。
●UHCは、全ての人が効果的で良質な保健医療サービスを受けることを可能にすることを意味します。
●現在、グローバルヘルスにかかる課題が一層深刻になる中、UHC達成の重要性が増しています。本日は、その達成に向けた二つの重要な点をお話ししたいと思います。
3 強靱な保健システム構築
●まずは、一点目として、強靱な保健システムの構築が挙げられます。
●保健分野に対して十分な投資を行い、地震や洪水、パンデミックなどの災害時においても、必要とされる保健医療サービスを継続して提供することのできる強靱な保健システムを構築する必要があります。
●こうした考えに基づき、日本は、東南アジアやアフリカ各国の中核医療施設の整備・ネットワーク化や、医療分野の人材育成支援などを支援しており、UHCの推進に貢献しています。
4 保健財政の強化
●二点目に重要な点は、保健財政の強化です。
●国際保健をめぐる環境が大きく変化する中、各国政府、国際機関も財政的な困難に直面しています。
●特に低・中所得国では、ドナーからの援助資金への依存を減らし、自国資源を最大限に活用して持続可能な保健財政を確保し、強化することが重要です。
●こうした課題に対処すべく、日本政府は本年、WHO・世界銀行と連携し「UHCナレッジハブ」の取組を進めており、開発途上国の財務、保健当局の関係者を対象に、保健財政強化の能力構築を支援していきます。
●昨日のNCDsハイレベル会合で確認されたとおり、NCDs対策及び精神保健の分野に関しても、保健財政強化の観点から食品業界や製薬企業といった民間セクターや市民社会を巻き込んだ取組が必要です。
●先月、日本はアフリカ諸国と共に、アフリカ開発会議、TICAD9を開催しました。
●この会議でも、アフリカ各国との間で、アフリカ発の医療品生産能力の強化や、デジタルヘルス企業の育成など、民間セクターの参画を得ながら様々な課題を解決していくことで一致しました。
●また、保健財政への負担を軽減するためにも、健康増進・疾病予防が鍵を握ります。日本もWHOのガイドラインにも基づいた予防策を推進していくことを強く支持しています。
5 結語
●2030年まで残り5年に迫る中、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けてはWHOが保健分野において中心的な役割を果たすことが不可欠です。
●日本政府は、これからもUHCフレンズグループの皆様と、UHC達成に向けた取組をさらに推進し、グローバルヘルスに貢献してまいります。
●御清聴ありがとうございました。