[文書名] 「世界津波の日」2025イベント(於:ニューヨーク国連本部)茂木外務大臣メッセージ
御列席の皆様、
日本国外務大臣の茂木敏充です。2025年「世界津波の日」国連イベントに際し、御挨拶させていただきます。
まず、カマル・キショー国連事務総長防災担当特別代表、ラバブ・ファティマ国連後発開発途上国・内陸開発途上国・小島嶼開発途上国担当上級代表、ロク・バハドゥル・タパ国連経済社会理事会議長を始め、本日のイベントに関わる関係する国々や機関の皆様に深く感謝申し上げます。
昨年1月に発生した能登半島地震に際して、私は自民党能登半島地震対策本部長を務め、陣頭指揮に当たりました。この経験を通じて、改めて、災害に対する人やモノに対する事前投資の重要性を強く認識したところです。今般、皆さまの御尽力により、津波に対する事前防災投資について議論する機会が得られたことは、重要な取組であると考えます。
今年は世界津波の日の制定から10年という節目の年です。2015年に、142か国もの国が賛同し、11月5日を「世界津波の日」とする国連総会決議が採択されました。この決議は、東日本大震災を契機とし、世界各国の人々に津波の脅威と対策について理解と関心を深めてもらうべく、日本政府が主導したものです。
日本政府は自身の知見を生かしながら、気候変動等の影響により世界各地で激甚化、頻発化する災害への対応に取り組んできました。この取組は着実に成果を生んでいます。一方、残念ながら、災害の記憶は、時間の経過とともに失われてしまいます。記憶の継承なき対策は、その役割を十分に果たし得ないものとなってしまいます。
災害の記憶・経験を伝承する。これは、今を生きる私たちに課された重要な責務です。
日本では、世界各国の高校生が津波の脅威と対策について学ぶ場として、2016年から「世界津波の日」高校生サミットが開催されています。これまで、2,000名以上の高校生が参加し、津波から自身や家族、コミュニティーを守るために何をすべきか、何ができるかを学び、それぞれの学校、地域社会、家庭等において、草の根で広める取組が進んでいます。
本日のイベントには、今月下旬に宮城県仙台市で開催予定の「世界津波の日高校生サミット 2025 in 仙台」を代表し、小椋琉華{「おぐらるか」とルビあり}さん、小松光月{「こまつみつき」とルビあり}さん、平間夢人{「ひらまゆめと」とルビあり}さんの3名の高校生が参加してくださっています。未来を担う次世代、ユースの代表として、この高校生サミットに向けた意気込みや防災の重要性について、世界に向けて力強く発信いただけるものと期待しています。
そして、来年の2027年秋、仙台市でアジア太平洋防災閣僚級会議が開催されます。数多くの災害を経験し、防災に関する知見を豊富に蓄えてきた日本は、世界中で持続的で強靱な社会を構築できるよう、世界の防災を主導していく決意です。
御静聴、ありがとうございました。