[文書名] 日本の国連加盟70周年記念シンポジウム 茂木外務大臣基調挨拶「70周年を祝して (日本と国連の協力、多国間主義の未来)」
冒頭発言
・グテーレス国連事務総長、マルワラ国連大学学長、
国連幹部の皆様及びご列席の皆様、
・今年は、日本の国連加盟70周年です。日本と国連の協力の歴史は、多国間主義に対する日本の揺るぎないコミットメントの歴史でもあります。
・国際社会の諸課題を解決するには、各国の団結が必要です。昨年の大阪・関西万博の国連パビリオンのテーマは「United for a Better Future: 人類は団結したとき最も強くなる」でした。これは、国連の価値を最も的確に表す言葉です。
・国連は、193か国が集まる、唯一無二の包摂的なフォーラムです。より良い社会・未来を作るために、引き続き国連には大きな役割、潜在力がある。こうした信念の下、日本は、困難な国際情勢の中にあっても、むしろ、困難な情勢にあればこそ、各国の団結を実現すべく、国連としっかりと手を携えてまいります。
・本日は、多国間主義が抱える3つの課題を概観した上で、日本が今後、国連と新たな協力の歴史をいかに紡いでいくかについて、お話したいと思います。
国際情勢の変化(多国間主義が抱える課題)
・1つ目の課題は、国際社会の平和と安定に責任を有する国連への信頼の揺らぎです。緊迫する中東情勢、ロシアのウクライナ侵略、北朝鮮の核・ミサイル開発等に対して、安保理が有効に対処できていない現状から目を背けることはできません。
・2つ目は、グローバル・ガバナンスの再構築です。グローバル・サウスの台頭と共に、グローバル・ガバナンスの在り方が改めて問われています。
・多国間主義を尊重し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するためには、国際社会の多数派であるグローバル・サウスとの連携が不可欠ですが、そのための仕組みをいかに構築していくかが課題です。
・3つ目は、AIやデジタルといった技術革新です。特に、基幹技術や重要物資を自国の外交上の手段として用いる経済安全保障上の競争が激化している現実にどう対処するか、これも喫緊の課題です。
国連の持つ可能性
・このような現状にある多国間主義の下で、日本は合意の形成や協力の促進に向け、国連の場においてより一層リーダーシップを発揮していきます。具体的には、特に3つの分野を挙げたいと思います。
・1つ目は、平和構築・紛争予防です。平和構築・紛争予防には分野横断的な対応が求められ、包括的リソースを持つ国連は大きな役割を果たします。
・紛争のリスクを最小化していくには、日本が推進してきた人間の安全保障の考え方が大切です。その考えの下、人道支援、開発協力、平和構築の各アクターが連携し、紛争の根本的な原因を解消し、人々の自立を促進する包括的なアプローチが重要です。日本は国連のこうした活動を支え、平和の実現に共に取り組んでまいります。
・2つ目は、法の支配です。国連は、規範や法を策定し、それらを普遍的なものとして国際社会全体に浸透させていく機能を果たしてきました。これは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化する上で極めて重要な役割です。日本は、国際社会における法の支配を推進する国連がその機能を十分に発揮できるよう、これからも、しっかりと役割を果たしてまいります。f3つ目は、国連改革です。国連がその機能を十分に発揮するためにも、今こそ変革が必要であり、その責任は、国連事務局のみならず、加盟国全体が共有しています。
・特に、国連設立当時の構成が続いている安保理を、現実の国際情勢に即したものに改革することは喫緊の課題です。日本は、安保理改革や、UN80(エイティー)を含む国連改革の取組を強力に後押ししていきます。
結語
・日本は、「包容力と力強さを兼ね備えた外交」を通じて、国連を中核とする多国間主義へのコミットメントを明確に掲げていきます。国連と共に、平和を築き、法の支配を守り、改革を促進していきます。国連加盟70周年を迎えるに当たり、日本として改めてこのことをお約束します。
・御清聴ありがとうございました。