データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 田中内閣総理大臣談話

[場所] 
[年月日] 1972年7月7日
[出典] 田中内閣総理大臣演説集,4‐5頁.
[備考] 
[全文]

 わたくしは、内外の情勢のきわめてきびしいときにあたり、政権を担当することになりました。ここに、心をあらたにしてわが国の発展のために一身を捧げる覚悟であります。

 佐藤前首相は、長期にわたり数々の輝かしい業績を残されました。わたくしは、前首相の後を承けて綱紀を正し、清潔な政治を行なって国民の期待にこたえてまいりたいと思います。

 まず、内政については、従来の経済成長の成果を活用して国士の画期的な利用を図り、公害、住宅、土地問題等を解決するため、長期的展望に立った施策を断行し、国民の福祉を実現してまいります。

 外交については、中華人民共和国との国交正常化を急ぎ、激動する世界情勢の中にあって、平和外交を強力に推進してまいります。

 日本の国力の充実にともない、国際的地位は飛躍的に高まっておりますが、これは同時にわが国の国際間における責任の重大さを示すものであります。したがってわが国は、世界の平和とアジアの民生安定のために力を傾けなければならないと思います。

 わたくしは、国民各位のご協力を得て、政治のあたらしい流れを謙虚に追求し、挙党一致体制のもと輝身の力をふるって邁進してまいる決意であります。