データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 衆・参同日選挙に際してのNHK「党首は訴える」,国際国家日本の道標(中曽根内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 1986年6月29日
[出典] 中曽根演説集,343−353頁.
[備考] NHK放送より
[全文]

 こんなに大勢お集まりいただきまして、本当に感激でいっぱいであります。中曽根内閣成立以来三年七カ月になりますけれども、皆さま方から本当に温かいご支援をいただきまして、心からお礼を申し上げる次第です。ここで重ねて改めてお礼を申し上げます。

 何しろ私のようなふつつか者がやらせていただくのでございますから、ご不満の点も多々あると拝察しておりますが、私なりに一生懸命やっておるつもりでございます。間違っておるところがあれば直しますし、毎日、反省をし、検討を繰り返しながら、今後も一生懸命やらせていただきたいと思っております。

 実は、日本は今、非常に重大な時期に差しかかっております。ご覧のように二十一世紀を目指して、ちょうど今、戦争が終わって四十年たって、それから二十一世紀へ向かって十五年あるわけです。この一区切りの一番大事なときで、過去を反省し、未来に向かっていくというスタートの年であると思っておるんです。

 私が皆さんにお訴え申し上げたいのは、日本は四つの方向へ行こうということです。

【平和と軍縮】

 第一は、平和と軍縮への道であります。私は国会へ毎日のように行きますが非常にうれしいことがある。それは国会へ入ろうとして、玄関へ入っていって自動車を降りると、国会見学の小学生や中学生が私を見つけると、みんな帽子を振って歓声を上げてくれるんです。このときぐらいうれしいことはありませんね。

 けれども、次の瞬間には非常に大きな深刻な責任感に打たれるんです。このかわいい子どもたちを再び戦場にやってはならない、お父さんもあればお母さんもいらっしゃる、妹もいる。私は過般の太平洋戦争で海軍だった弟を失っております。そのとき私の父が人知れずどれくらい悲しんだか知っておる。こういう悲しみを今のお父さん方、お母さん方に与えてはならないのだと、肝に命じておるんです。平和や、あるいは軍縮の問題というものは、戦争に行って苦労したものでなければ本当のことは分からないと私は思います。私はそういう意味において、本当に日本を再び戦場にしないように、これが戦後の政治家の第一の心構えでなければならないと肝に銘じておるのであります。

 そういうふうに持っていくために何が大事か。今、当面の問題としては、米ソ首脳会談をできるだけ今年中に、第二回目の会談を開いてもらうということなんです。第一回を開く前にも、私はレーガン大統領に会って首脳会談をおやりなさいとおすすめしました。また、この間、ワシントンへまいりまして、キャンプデービッドへ行ったときも、レーガンさんに第二回会談をおやりなさい、ソ連はこういう情勢で、ゴルバチョフさんはこういう考えでいると自分は思うから、あなたがやれば乗ってくる、必ず開きなさいと、そう申し上げた。

 この間、安倍外務大臣をモスクワへやったときも、親書をもたせて、ゴルバチョフさんに、レーガンさんとお会いなさい、二人で会えば、人間なんだから必ず相通ずるところがあると、そういうことを切々として申し上げておるのであります。やっぱり全世界が心配しているのは第三次世界大戦であり、核戦争ですから、核の洗礼をうけた日本の総理大臣の大きな仕事の一つはこのことであると、今後も努力してまいるつもりなんです。

【「逞しい文化と福祉の国」建設】

 第二番目は何か。それは逞しい文化と福祉の国をつくるということです。これは組閣のときから申し上げているとおりです。

 文化の問題で大事なのは教育の問題です。教育は一生懸命やっております。例えば偏差値、いじめ、輪切り、共通一次テスト、大学の入学試験、さまざまな改革を今、進めております。今までの大学教授や先生の立場に立った考え方から、むしろお父さんやお母さんや、受ける受験生の立場に立った改革が必要なんです。私はそういう立場から、かなり厳しいことも言っておるわけであります。

 そして、これからやる大事なことは何かといえば、それはお父さんお母さんはぜひ聞いていただきたいと思うんですが、子どものしつけ、いわば道徳教育です。戦後の日本の教育のいいところは、子どもが伸び伸びしてきたことです。しかし悪いことは、いじけてきている、頑張る力がないとよく言われますね。そこで、この責任は、まずお父さんお母さんが子どもをしつけていただかなきゃならんし、学校の先生にも責任がありますが、やはり子どもに小さいときからしつけをピシッと教える。思いやりの心、礼儀を守る心、きょうだい仲よくする心、そういうような人間として生きていく基本の型をよく教えなければ、子どもはかわいそうだと思うんです。

 人間と動物の違いはどこにあるか。人間は良心を持っていること、そして自分を抑える力を持っておる。動物にはそれがないんです。だから、子どもたちにも人間として生きていく基本の型を教えなけりゃいけない。お花でもゴルフでも、柔道でも、基本の型を教えなければ伸びませんね。いわんや人間として生きていく場合にはそれが大事なんです。それが欠けている。このしつけを学校教育においてももっと大いに取り上げていただきたいと、そう念願しております。

 その次に大事なことは何か。福祉ですね。福祉の中で、これからは老人問題が大事です。日本はもう六十五歳以上が一割を超しまして、数年たつと一割五分ぐらいになるんですね。だから、今までは人生五十年で日本の社会の仕組みができておった。もう人生八十年になったんですから、人生八十年に設計変更をして、社会の仕組みを全面的に変えなければいけない。それにはどういう基準でいくか。老人の欲するものを与えなさい。第一は年金、医療。第二は仕事です。第三は何か、孫と家庭です。この孫と家庭を伴う日本的福祉というやり方で、社会の仕組み全体を変えて、人生八十年に設計変更していく。

 ですからこの間、長寿社会対策基本要綱というもの閣議決定いたしまして、人生八十年への設計変更の体系をつくった。

【ガン撲滅】

 それからもう一つ大事なのは、ガンの征伐ですね。今、日本で一番死亡率の高いのはガンです。脳溢血を抜いて一年間に死亡なさる型が十八万人近くになりました。そこで、私は内閣をつくりましたときに、例えばガンセンターの杉村先生という文化勲章をもらった有名な先生以下、学者に集まっていただいて、どうすればガンを撲滅し、予防する薬ができるか、やって欲しいと。そしてその方法をつくっていただいて、五十八年六月に対ガン十ヵ{前1文字ママ}年総合戦略というのを閣議決定して、それで今、前進させておる。ガンは遺伝子が発見されました。もうガンを治す薬は見つかる前夜まできておる。全世界の学者が今、それに狂奔して、自分の国で作ろうとやっておるんです。だから日本も負けちゃいけない、そう思って、今、全力をあげてやっておる。

 今年はガンの予算が四百六十一億円ですよ、この厳しい予算の中で。ガンの研究だけで約五十億円使っている。アメリカのロックフェラーの研究所、フランスのパスツールの研究所へ今年は行って、共同研究の話し合いをして、今、一緒に研究もしておる。こういうふうにして、ぜひ日本でガンを治す最初の薬をつくりたいと、そう思って必死にやっておるのであります。もうわりあい間近にきたと私は見ておる。もし日本でガンを治す薬ができただけでも、中曽根内閣が誕生した意味があると私は考えておるのであります。

【国際国家日本】

 その次は何であるか、国際国家日本です。日本はいよいよ国際的に大きな発言権を持つと同時に、責任を背負っていかなきゃならんところまできました。今、国際連合を支えているおカネを出してやっている国はどこか。一番出しているのはアメリカで九億五千万ドル、二番が日本です。三億六千万ドル。三番は西ドイツ、二億五千万ドル、四番以下がイタリア、カナダ、イギリスで、一億六千から一億七千万ドル。その次はソ連です。その次はフランスです。日本はアメリカに次いで、二番目に大きなおカネを出している。皆さんの税金を。そうであるならば、日本の政治も政治家も、アメリカに負けないぐらいの発言権を持っていかなれば{前5文字ママ}国民に申し訳ないと、私は考えてきたのです。

 ですからサミットにおきましても、自分の国の利益を守る、正しい国益を守る、そのためには、レーガンさんであろうがミッテランさんであろうが、引けをとらないという決心でやってきたつもりでおります。

 これは日本を代表する政治家として当然の行為であると、考えておるのあります。

 こういうようにして、一方において経済摩擦を解消しながら、景気を落とさないようにしつつ、内需へ仕事を転換して、そして経済摩擦をなくし、日本の経済構造の転換を図っていく、これがこれからの大事業です。日本を村八分にさせないためにも、日本はやるべきことをやっていかなければいけないのです。その方向を私はこの間、決めたのです。だからサミットにおいても外国は日本を非難しなかったわけであります。

【「改革の政治」の推進】

 第四番目は何か。第四番目は税金のかからない、そして行政改革をやる政府であるということであります。

 国民負担率というのがあります。それは税金プラス社会保険料を足したものです。この国民負担率の高い国と低い国がある。高い国はスウェーデン、国民の収入の七割は税金と社会保険料で取られちゃう。その次はフランスで、約六割。その次がドイツとイギリスで約五割三分。低いのは日本とアメリカなんです。三割六分です。日本は税金で二割五分、社会保険で一割一分、三割六分です。そのかわり政府の借金が多い。アメリカと日本が世界で一番、政府の借金が多い。つまり、政府は貧乏でピリピリしているけれども、民間は貯金を持って割合にいいというのが日本とアメリカの今の姿なんです。しかしこれは、政治の理想でもあるんですね。

 仁徳天皇も「民の竈は賑ひにけり」と言っていましたね。われわれはこれを進めようと土光さんに言われておる。ますますそれでいきなさい。増税なき財政再建がそうです。この国民負担率をできるでけ上げないで、そうして頑張っていけと。私はそれが正しいと思っておる。ちょっと手を緩めれば、すぐおカネがかかって、役人は仕事を増やし、税金は重くなっちまうんですから、手を離せない。この道を行くことです。

 そして減税を断行していく。政府の税調に諮問しまして、中間答申が出ました。相当な所得税減税を今度やるつもりです。特に中堅サラリーマン、それから家庭の奥さん。家庭の奥さん、よく聞いてくださいよ。家庭の奥さんを中心に考える。まず住宅ローンとか自動車のローンとかローンを払っている中堅の苦しい人、三百万、四百万円ぐらいの年収から八百万ぐらいが一番苦しいですね。そのへんをフラット、平らにしちまおうと。今、日本で一番税金を払っている人は、収入の八割八分取られているわけです。これを世界並みに−−世界は大体五割ぐらいですよ−−六割前後にもっていこうと。そのかわり、いま言った中堅サラリーマンは平らになって、月給が上がっても税金は増えない。刻み方が今は多すぎる。十五段階刻みがあるから、ちょっと月給が上がると、累進で余計取られる。今度はそういうふうにしない、平らにしようと。月給が上がっても税金は上がらない、そういう形にしよう。そして必要経費も選択的に認めようと。

 それから家庭の主婦の皆さん、内助の功をやっていらっしゃる、内助の功のための特別減税をやろうと、これをやりたいと思っておるんです。これで男女平等が一歩前進します。

 よく野党が宣伝している大型間接税、これはやりません。前から申し上げております通り、これは昔から余り好きじゃないもの。こういうものは駄目だと前から言っておる。それは一般消費税やって、選挙で失敗して、もうこりごりしているわけです。だから、国民が反対し、また党員も反対するような大型間接税というようなものはやりませんとはっきり言っている。幹事長も言っている。政調会長も言っておる。もうやりません。野党が宣伝しても、それは悪宣伝です。私が言った以上は、そのとおり信用してください。

 それからマル優ですね。老人とか母子家庭とか、弱い人を守るのがわれわれの責任です。そういう方々に対するマル優というようなものは、どうしたって守っていかなけりゃならないのは当然のことです。

 こういうふうにして、できるだけ国民負担率を下げていくということをギリギリ努力していきます。

 しかし最近は、電電公社が株式会社になって、サービスが相当よくなったでしょ。今度は国鉄も同じようにしよう。財産を分けて与えて、自分で一本立ちでいきなさいと。そうすれば一生懸命やります。そういうふうにして、国鉄の改革も前進させる。電電公社は三千億円、利益が上がった。今度は長距離電話料金を下げさせますよ。そういうふうにして、能率が上がってきているわけです。

 最近は世の中が変わってきて、ストライキがなくなりましたね。国鉄も先生もストライキがなくなった。それは土光さんを中心に、われわれがこれだけ汗を流して苦労しているから、やれないんです。世の中が変わってきたんです。つまり、今までのように欲望無限から、今や節度と調和の社会へと、世の中が動いてきている。いい社会です。それに向けてわれわれはますます努力していかなければならない。

【スピードと実行の政治】

 それから、私は政治をやるについて、中曽根流でやっていると言っておる。一つは何か、分かりやすい政治。第二番目は何か、これはスピードと実行力のある政治です。今、日本はこれだけ高度情報時代になって、日本人は世界で一番知識の高い情報を持っている国民になった。できるだけ先手、先手でやっていかなければ、国民の不満はたまるんです。だから私は、今までのように、課長から局長、局長から大臣、大臣から総理大臣とハンコを持って歩くようなことをやめさせて、大事なことは総理大臣官邸から私が直接、電話をかけて、次官や局長や大臣に、あれやれ、これはどうなっている、と聞いているわけであります。

 この間も、ベトナムの双生児ベトちゃんとドクちゃんの問題がありました。みんなはその話を聞いてウロウロしておった。私はすぐ、日赤のお医者を直ちに派遣しなさい。飛行機は運輸省が用意しろ、おカネは政府が工面する。ビザは外務省がすぐベトナム政府に交渉してとるように直接支持した。それで翌日には日赤のチームが羽田を発って行って、帰りましたね。ぜひベトちょん、ドクちゃん、仲よく治ってくださるようにみんなでお祈りしてあげましょう。しかしこれは、アジア人としても人間としても当たり前のことなんで、こういうことはやっぱり総理大臣がスピードと実行力でやらなきゃ間に合わない時代になっている。

 社会党の人は私が独裁者だとか言いますけれども、時代を知らないんです。私に言わしめれば、ニュー社会党じゃなくて、オールド社会党じゃないかと思いますね。

 そういうスピードと実行力を持った政治を今、私はやっておるのであります。

 スピードと実行力で大事なのは、円高差益の還元ですよ。だから今度は、電気代、ガス代、相当下げました。今、検針に行って、家庭で受取をもらっているでしょう。今や五百円から六百円ぐらい下げていますね。ガソリンだってリッター百三十五円したのが今では百十九円というのが出てきておる。あるいはお惣菜のものでも、グレープフルーツですか、あれでも百五十円ぐらいが百三十円ぐらいになってきている。みんな三十円ぐらい下がっている。バナナでもパイナップルでもみんな下がっている。配合飼料でもトン九千二百円ぐらい下がっています。ともかくこういうふうに下げる。

 牛肉が大事です。ポーランドでは牛肉で暴動が起きたんですから。ですから、私はこの間、スーパーを見にいって牛肉をいちいち点検してみました。これも外国産のものは下げている。もっと下げさせようと、畜産振興事業団で持っているおカネを全部払い出せと、そう言ってやっている。それと同時に、店頭に何がいくら下がったというビラを出しなさいと。だいぶ出してきていると思いますよ。これがすなわちお台所に直結する政治なんです。奥さんと総理大臣が握手する政治なんだ。私はこれを心がけていきたい、これが新しい政治だと、そう思っておる。

 それから、中小企業の皆さんが円高で困っている。これも無利子のおカネを出している。あるいは更に、二分七厘とか四分八厘五毛とか安いおカネを出したり、担保のない人にも三千万円まで融資枠を広げる。いろんなことをやって、ともかく実行力のある政治をやろう。

 農林漁業を守ることも大事であります。農は国の基であり、生命産業であると前から言っておるとおりで、ともかく一生懸命やります。

 ともかく、今度の選挙は、一つは自民党に過半数を取らせてくださいというお願いなんだ。

 それから若返りをやりましょう、世代交代をやりましょうと、ニューリーダーの皆さんが全国を飛び回って、自民党も非常にエネルギーが出てきたし、日本の政治が若返れば、経済も文化も若返ってきますから、これで二十一世紀への軌道を設定しようと思っておるのであります。

【「自己反省の政治」−−天皇陛下とローマ法王に学ぶ−−】

 一生懸命やらせていただきますが、政治家が一番大事なことは自分を反省することだろうと思っています。私は世界で一番尊敬している方が二人いらっしゃる。

 一人は天皇陛下です。もう一人はローマ法王です。ローマ法王にもお会いしましたが、非常に謙虚な、庶民的で、人類の運命をお考えになって、私がありませんね。あの人に会うとほのぼのしたものを感ずる。だから共産圏のポーランドへ行っても二百五十万の人が集まる。この方には頭が下がりました。つまり私がないということです。

 日本の天皇陛下もそうでございます。随分な仕事をおやりいただいて、一つ一つ真心をこめておやりになっておられる。世界の平和と日本人の幸せを毎日お考えになって、頭から去らないのです。外国の大統領や総理大臣が来て宮中晩餐会をやりますが、二十人ぐらい随員が来る。陛下は一人ひとり、秘書官に至るまで握手をされて、お言葉をちゃんとおかけになる。私なんかなら、大蔵大臣か外務大臣程度で止めたらどうかと思うんですが、八十五歳のご高齢でも、一人ひとりに真心こめてごあいさつなすっておられる。だから外国の総理大臣や大統領は、天皇陛下には頭が下がりますと語っている。まさに私がないのであります。

 私はそれをそばで伺いまして、総理大臣は何をしなければならないか、国務大臣は何をしなければならないか、しみじみ反省させられる。私は禅寺へ行って座禅をやっておりますが、これは自分を反省するためなのであります。

 人間がやることだから、私のやっていることが間違いもあるかもしれん。それは直しますし、毎日、反省してまいりたいと思っている。野党の皆さんのおっしょる{前5文字ママ}ことも、正しいことがあれば耳を傾けて、どしどし採用させていただきたいと思っています。それが総理大臣の仕事だと思っています。

 しかし、日本の道をこういう方向に持っていこうということについては、政治家としての責任と考えを持って国民の皆さんにお訴え申し上げているんです。この今までやってきたことをご支持いただけるのか、皆さんにご審判をいただこうとしておるわけなんです。

 どうか、こん外圧がジリジリ寄ってきているとき、そしてまた国内の大改革が進行中のときに、方向を変えないでください、これをやらしてください、続けさせてくださいというのがお願いなのです。

 私は総理大臣をやらせていただいて、しみじみとその責任を感じました。そして国のために大事だというときには、派閥もなければ自民党もないという観念に徹してやりたいと思っておるのであります。そういう悲壮な気持ちで政治をやらせていただきたいと思っておるんです。今、日本は坂を上っているんで、みんなで荷車を押しているようなもんです。途中で手を抜いたらガラガラともとへ戻っちゃうから、それを心配して、これを水泡に帰させないでくださいというお願いを、心から皆さんにお訴え申し上げているのであります。

 どうぞ今回の選挙におきましては、なにとぞ自民党をご支持くださるように、伏してお願い申し上げる次第です。