[文書名] 組閣に際して(竹下内閣総理大臣)
私は、このたび、内閣総理大臣の重責を担うことになりました。誠に身の引き締まる思いであります。私は、全身全霊を傾けて、その責務を遂行してまいる決意であります。
中曽根前首相は、行財政改革を始めとする諸改革の推進、対外政策の積極的展開に取り組み、大きな成果を挙げてこられました。私は、これら内外政策の基本路線を継承しつつ、二十一世紀に向けて、世界に開かれた社会そして真の豊かさを持つ文化経済国家を創造していくために、経済発展の成果を国民生活の充実に生かし、ふるさとのぬくもりを大切にした国づくりを目指してまいります。当面の課題としては、土地対策、税制改革、教育改革等を積極的に推進していきたいと存じます。また、国際社会の中で我が国が置かれている立場を正しく認識し、自らの役割を懸命に果たしながら、世界の平和と繁栄に貢献する誠実な外交を展開してまいります。
我が国を取り巻く内外の環境は一段と厳しさを増しておりますが、この激動の時代に適切に対応していくためには、それに伴う痛みを乗り越えていく努力も必要であります。私は、国民の皆様の衆知を集め、合意を求めながら、「大胆な発想と実行の政治」を信条として、この難局に対処し、こころ豊かな明日を築くことができるよう、新たな政治の第一歩を力強く踏み出していく覚悟であります。
国民の皆様の一層のご理解とご協力をお願いいたします。