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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「大喪の礼」御式における竹下内閣総理大臣の弔辞

[場所] 
[年月日] 1989年2月24日
[出典] 竹下演説集,60‐61頁.
[備考] 
[全文]

 本日、ここに大喪の礼を迎え、昭和天皇に永久{とわとルビ}のお別れを告げなければならないことは、誠に哀痛の極みであります。

 昭和天皇は、六十有余年の長きにわたり御在位あらせられ、この間、我が国は悲しむべき大戦の惨禍、混乱と窮乏極まりなき廃墟{きょとルビ}からの復興と真の独立、比類なき経済の成長と国際国家への発展という、正に激動の時代を経験いたしました。

 このような時代にあって、昭和天皇は、世界の平和と国民の幸福を心から願われ、常に国民とともに苦難を乗り越えてこられたのであります。特に戦後においては、日本国憲法の下で、日本国の象徴、日本国民統合の象徴として公務に御精励になる傍ら、生物学の御研究にお力を注がれ、その御造詣{けいとルビ}の深さは内外に広く知られるところでありました。

 また、昭和天皇の清明仁慈の御心{御にみとルビ}、公平かつ真摯誠実{摯にしとルビ}なお姿に接して感銘を受けなかった者はありません。その御聖徳は、とこしえに語り継がれ、人々の心の中に生き続けるものと確信いたします。

 今ここに最後のお別れを申し上げるとき、おすこやかであらせられた御生前のお姿をしのび、悲しみの涙をとどめる術{すべとルビ}を知りません。

 私たち国民一同は、昭和天皇の御心{御にみとルビ}に思いを致し、世界に開かれ、活力に満ち、文化豊かな日本を建設し、世界の平和と人類福祉の増進のため更に最善の努力を尽くしてまいります。御霊{みたまとルビ}の安らけく静まりたまわんことをお祈り申し上げ、ここに謹んで弔辞を奉呈いたします。