データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 内閣総辞職に当たっての宇野内閣総理大臣談話

[場所] 
[年月日] 1989年8月9日
[出典] 宇野内閣総理大臣演説集,122−123頁.
[備考] 
[全文]

 宇野内閣は、本日、総辞職いたしました。

 発足以来、今日まで、改革前進内閣として、政治に対する信頼を回復し、国民生活の安定、向上を図り、国際社会に期待される役割を的確に果たすべく、専心努力を重ねてまいりました。

 特に、先般パリで開催されたアルシュ・サミットにおいては、先進民主主義国の一員としての、またアジアからの唯一の参加国としての日本という立場から積極的に発言し、我が国が世界の平和と繁栄に真摯に貢献しようとする姿勢を明らかにし、参加国のみならず、広く各方面からの高い評価を受けたのであります。

 しかし、今回の参議院議員選挙を通ずる国民の審判は、諸般の事情も重なり、極めて厳しいものとなりました。

 私は、この際、一切の責任をとり、人心を一新し、内外の山積する重要課題に取り組む清新な後継を作り出すことが必要であると判断し、総辞職を決意いたしました。

 この間に寄せられた皆様のご協力とご支援に改めて心から御礼申し上げる次第であります。