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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 環境基本法案に関する宮澤内閣総理大臣の談話

[場所] 
[年月日] 1993年3月12日
[出典] 宮沢演説集,67‐68頁.
[備考] 
[全文]

一、本日の閣議において環境基本法案を決定いたしました。

 今日の環境問題は、地球環境という空間的広がりと、将来の世代にわたる影響という時間的な広がりとを持つ問題となっています。環境問題は、二十一世紀に向けて真に豊かさとゆとりを実感できる社会の形成を目指す我が国にとって重要な政策課題であるばかりでなく、人類の生存基盤としての有限な環境を守り、次の世代へと引き継いでいくという人類共通の課題でもあります。

二、環境問題への取組みのためには、自然の摂理と共に生きた先人の知恵も妥け継ぎつつ、環境に関する新たな理念を掲げ、国、地方公共団体、事業者、そして国民それぞれの新しい責務を明らかにすることが必要であります。その上で、公平な役割分担と自主的努力によって、経済社会システムの在り方や行動様式を見直し、環境への負荷のない持続的発展が可能な社会を創っていく必要があります。本日、決定をみた環境基本法案は、こうした要請に的確にこたえる政策の枠組みとなるものであります。

三、もとより、環境問題は世界が手を携えて解決すべき課題であり、昨年六月に開催された「環境と開発に関する国連会議」(地球サミット)において、世界は、地球環境時代にふさわしい新たな努力を約束しました。

 地球環境に大きなかかわりを持ち、また環境の保全に関する様々な経験と能力を有している我が国は、こうした経験や能力を活かし、国際社会において率先して役割を果たしていかなければなりません。環境基本法案は、地球サミットの成果に沿った新たな取組みを世界に先駆けて始めるための挑戦でもあります。

四、地球的規模で環境を守り、次代に引き継いでいくための努力は緒に就いたところであり、これから、実際の行動に結実させていく必要があります。ここに我が国としての環境への新たな取組みが関始きれたことを宣明し、国民各位とともに全力を尽くしてまいりたいと考えます。