[文書名] 文民警察官帰国時における宮澤内閣総理大臣の挨拶
昨年十月以来、九か月にわたる困難な任務を全うして、本日諸君が無事のご帰還を果たされたことを誠に喜ばしく存じます。カンボディアにおける文民警察の業務は、日本とは比べようもない厳しい生活環境、勤務環境であったと推察いたしますが、選ばれた精鋭たる諸君が、その持ち前の勇気と責任感で各々与えられた職務に精励され、現地では人々から厚い信望と高い評価を得たものと開き及んでおります。国際平和協力本部長として諸君の派遣に責任を負う立場にある者として、日本の文民警察官を誇りに思うとともに、心から敬意を表したいと存じます。
カンボディアの選挙は、ご承知の通り圧倒的多数の国民の参加の下に公正に粛々と行われ、過日暫定政権が発足するに至りました。しかしながら、不幸にして、高田晴行警視が任務遂行中に尊い命を捧げられ、さらに四名の要員の方々が負傷されるという誠に痛ましい事件が発生いたしました。世界平和のために尽力されてきた前途有為な立派な人材を失ったことは、我が国にとっても誠に痛恨の極みであります。
本日は、帰還された諸君全員にお会いし、活動の報告を伺うよう希望しておりましたが、何分サミット中のことでもあり、代表のお二人にお越しいただくこととなりました。
明日以降、諸君は、カンボディアでの活動の報告の取りまとめに当たるため、それぞれの出身地に一時戻られると聞いておりますが、健康に留意され、本来の職場への復帰に備えて頂きたいと思います。
後日、要員の諸君全員と、ゆっくりとお話をする機会を持ちたいと考えております。他の諸君には、くれぐれもよろしくお伝えいただきたいと存じます。本当にご苦労様でした。