[文書名] 内閣総辞職に当たっての宮澤内閣総理大臣の談話
宮澤内閣は、本日をもって総辞職いたしました。
平成三年十一月の内閣発足以来、冷戦構造の終焉という歴史的な転換期のなかで、バブル経済の崩壊によるかつて経験したことのない不況も加わり、困難な局面下で当面する諸課題に正面から取り組んでまいりました。この間、国民の皆様をはじめとする関係各位から賜ったご理解とご協力に、改めて感謝の意を表したいと思います。
国際社会が新たな平和秩序を模索するなかにあって、国連平和維持活動に参画し、アジアの同胞である力ンボディアの国づくりに貢献するとともに、東京サミットの開催を通じて広範な分野において国際協調の輪を広げるなど、世界の平和と繁栄に真摯に貢献しようとする我が国の姿勢を強く印象づけることができました。
国内的には、累次の経済対策の実施によって景気回復に向けて経済の建て直しを図るとともに、国民の一人一人がゆとりと豊かさを実感できる生活大国の実現を目指して第一歩を踏み出すことができました。
しかしながら、度重なる不祥事を契機に国民の政治不信が極めて深刻な状況になっているなかで、政治改革を実現できなかったことは残念でなりません。私は、今回の衆議院議員の総選挙の結果を、国民の厳しいご批判と厳正に受け止め、この際、一切の責任をとり、総理の職を辞することといたしました。
私は、国民の政治に対する信頼を回復するため、抜本的な政治改革が早期に実現することを切望いたします。また、内外の情勢が激動し、難問が山積するなか、一時も政治が停滞したり、安定を失することがあってはなりません。新内閣が内政・外交の一貫性と継続性を堅持し、的確な国政運営に邁進されることを願ってやみません。
重ねてこれまで国民の皆様からいただきましたご協力とご支援に心からお礼申し上げます。