データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 総理大臣就任に当たっての細川内閣総理大臣の談話

[場所] 
[年月日] 1993年8月9日
[出典] 細川内閣総理大臣演説集,26頁.
[備考] 
[全文]

 私は、この度、内閣総理大臣に任命されました。

 先の衆議院議員総選挙の結果は、国民の皆様が長期一党支配による弊害の一掃を望んでおられることを示すものでありました。ここに一つの時代が明確に終わりを告げたことを国民の皆様とともに確認し、二十一世紀に向けた新しい時代の幕開けを高らかに宣言したいと思います。私は、新政権に課せられた歴史的使命と国民の熱い期待を真摯に受け止め、心魂を傾けてその職責を遂行してまいる決意であります。

 私はまず、この政権が「政治改革政権」であることを肝に銘じ、今回の選挙で与えられた千載一遇のチャンスを逃すことなく、政治改革関連法案を本年中に成立させるべく総力を結集してまいります。また、政・官・業の癒着体制の打破や規制緩和、地方分権等にも本格的に着手してまいります。

 私は、我が国憲法の理念及び精神を尊重し、外交や防衛等国の基本施策についてこれまでの政策の基本線を継承してまいります。また、過去の歴史への厳しい反省に立って、世界の平和と軍縮のために責任と役割を担い、国際社会に信頼される国づくりを行ってまいります。同時に、長期化する不況の克服に全力を挙げるとともに、国民生活の安定と向上を最優先とした政策を積極的に展開し、活力ある福祉文化社会の創造に果敢に取り組んでまいります。

 冷戦終結後の国際社会や国民の多様な要請に応えるべく、「責任ある変革」を基本として国政の運営に取り組んでまいります。

 国民の皆様の一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。