[文書名] 羽田内閣総理大臣談話
この度、私は、内閣総理大臣の重責を担うことになりました。昨年の連立政権誕生によって緒についた改革に向けての歩みは、政治改革関連法の成立など土台づくりの段階を経て、更に本格的な取組を行うべき新たな段階を迎えようとしております。私は、我が国の向かうべき進路に誤りなきを期するため、「改革と協調」の政治を信条として、当面する緊急の課題への取組を始め時代の要請に即した政策の展開に全力を投入してまいりたいと存じます。
まず、我が国経済が今置かれている厳しい状況を脱却し、景気回復への足取りを確かなものとするため、当面、新年度予算の一日も早い成立に内閣の総力を挙げて取り組むとともに、内閣提出の法案等についてもその早期成立に努力してまいります。
途中段階にある経済改革、行財政改革、税制改革などの諸改革は、どのように困難を伴おうとも将来にわたる国民生活の安定のために成し遂げなければならない課題であります。既成の概念にとらわれないダイナミックな改革を進めることによって着実にその成果を上げてまいりたいと思います。
また、我が国を国際社会の中で各国から信頼され、日本国民であることに誇りを持てる国とするため、率先して国際社会に開かれた経済社会の実現に努力するとともに、多面的な国際協力を推進するなど我が国の国際的地位にふさわしい役割と責任を積極的に果たしていく考えであります。
前内閣で大きな一歩を踏み出した政治改革につきましては、政治改革関連法の実施に向けていわゆる区割法案の国会提出などを早急に進めることはもとより、国民から真に信頼される政治の実現のために、残された課題への取組を始めあらゆる面で引き続き努力してまいります。
改革という新しい歴史の潮流は、何人もこれを押し止めることはできません。私は、この流れをしっかりつかみ、それぞれの課題について、国民の皆様に的確な情報を提示し、政府の方針を率直に訴え、また、各層のご意見に謙虚に耳を傾けながら、国政の運営に当たる決意であります。
国民の皆様の一層のご理解とご協力をお願いいたします。