[文書名]　村山内閣総理大臣就任に当たっての談話

　私は、本日、内閣総理大臣の重責を担うことになりました。二十一世紀を目前に控え、我が国が歴史的な転換点に立つ今、政府の最高責任者としての責任と使命をしっかりと心に刻み、当面する政策課題への取組に全力を傾けてまいります。

　激動する内外情勢の中、新内閣は、憲法の理念を尊重しつつ、生活者のための政治、さらに、世界の人々の日本への期待に応え得る政治を目指します。このため、内においては、高齢化社会の到来に備え、国民一人一人が豊かさを実感でき、安心して暮らすことのできる生きがいのある国づくりを進め、外にあっては、軍縮の促進など冷戦後の世界平和の維持確保に努めるとともに、世界経済の安定と発展への積極的な役割を果たしてまいる決意であります。

　特に、現在、国内的には、区割り法案の早期提出などによる幅広い政治改革の実現、長期経済不況を脱し景気の着実な回復を定着させるための適切な経済運営、規制緩和と簡素で効率的な政府の実現のための行政・経済改革、高齢化社会をにらんだ税制改革などの諸課題、対外的には、次週に控えたナポリサミットへの対応や日米包括経済協議、北朝鮮の核開発問題の平和的解決など急を要する多くの課題を抱えておりますが、新内閣は、直ちに、これらへの対応に全力を注いでまいります。

　今、我々は、戦後氷きにわたった保守政治を虚心に見つめ直し、同時に、連立政権発足によってもたらされたこの一年の新しい政治の変化について反省すべきは反省しながら、新たな歩みを始めなければなりません。このような見地に立って、私は、新しい時代にふさわしい、安定した、そして、政策決定過程の透明な、開かれた民主的な政治体制の確立を目指し、あらゆる困難と障害を克服して、政治、経済、行政各面の改革を始めとする諸課題の達成に邁進する決意であります。

　新内閣は、「人々の心を映す政治」を基本として、国民の声に謙虚に耳を傾け、政治に対する国民の信頼回復に誠心誠意取り組んでいくことをお誓い申し上げます。

　国民の皆様のご理解、ご支援とご協力を切にお願い申し上げます。