[文書名] 陸上自衛隊ルワンダ難民救援先遣隊及び航空自衛隊空輸派遣隊の出発に当たっての村山内閣総理大臣の挨拶
ルワンダ難民の救援活動に協力するため、本隊の派遣に先立ち、任地に赴く皆様の壮途を祝して、はなむけの言葉を申し上げます。
ルワンダ難民の問題は、今日、国際社会が直面している最大級の難民問題であるとともに、国際の平和と安全に関わる重要な問題であります。各国は今、持てる力を出し合って、難民の救済とこれら地域の平和と安定を回復するために懸命な努力を払っております。また、現地では日本を含む各国のNGOの方々も参加して、文字どおり献身的な活動が行われております。
政府は、この問題について、これまでに資金と物資の両面で応分の協力を行ってまいりましたが、この度、人的協力について国連難民高等弁務官事務所から更なる要請があり、これを受けて我が国が国際社会の一員として、その地位に相応しい責務を積極的に果たすため、自衛隊の組織力を結集して、国際平和協力法に基づく人道救援活動の分野に初めて本格的に取り組むことといたしました。
皆様は、やがて現地入りする救援活動の本隊の業務の円滑な実施を支援するという重要な使命を帯びて、明日以降順次出発されるわけですが、人道精神と国際平和の理念に基づく名誉ある任務の一翼を担うという気概をもって、日頃の訓練で培われた能力を最大限に発揮され、国民の期待に応えられることを切に希望いたします。
皆様の任地は、不慣れな土地柄の上、勤務環境、生活環境も厳しいものとなります。政府としては、もとより、皆様の安全と円滑な活動を確保するため、全力を挙げて支援を行う考えでありますが、皆様におかれても、健康と安全には十分留意されるようお願いいたします。また、留守を守るご家族のご苦労には、この場をかりて深く感謝申し上げたいと思います。
大任を果たし、つつがなくご帰還されることをお祈りし、また、この意義深い任務に従事される皆様に改めて敬意と謝意を表して、私のあいさつとさせていただきます。