[文書名] 環境基本計画決定に際しての村山内閣総理大臣の談話
本日の閣議において、環境基本計画を決定いたしました。
我が国は、昨年十一月の環境基本法の制定以来、世界に先駆けて、地球化時代の新しい環境政策に向けた歩みを始めました。本日決定した環境基本計画は、この歩みをさらに進めるもので、環境基本法に定められた基本理念と施策を具体化していくための大綱となるものです。この計画では、環境の恵みが将来にわたって享受できるよう、人間活動が自然界の中での物質の循環を損なわないようにしていくこと、自然と人間とが共生できるようにすること、環境保全の取組にすべての人が参加すること、国際的に取り組むこと、という四つの長期的な目標を掲げ、これを実現するための我が国の環境の保全に関する施策の方向を総合的に明らかにしました。
私は、人々が孫子の代まで安心して暮らしていける環境を守り伝えていくこと、そして、人と環境にやさしい国づくりを目指すことは国政の基本の一つであると確信します。さらに、これらのことが、国際社会において我々が果たすべき役割の根幹となるものと考えます。環境基本計画は、このような考えを政策として具体化するものです。
今後、政府としては、一体となって、環境にやさしい活動を国が率先して行っていくための行動計画の策定を始めとして、本計画の具体化に取り組んでまいります。
また、政府の努力とともに、地方公共団体、事業者、国民、民間団体のそれぞれが、共通の認識に立ち、公平な役割分担の下に互いに協力して取り組んでいくことも不可欠であります。このような全員参加の取組を通じ、我々が日ごろから営んでいる経済社会活動や生活様式を問い直し、変革していかなければなりません。
こうした真剣な取組があって初めて、人と環境にやさしい世界を作っていくための着実な歩みを刻むことができます。環境基本計画が目指す、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会づくりのため、国民各位の御理解と御参画を切望いたします。