データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 阪神・淡路大震災犠牲者神戸市合同慰霊祭における村山内閣総理大臣の慰霊の言葉

[場所] 
[年月日] 1995年3月5日
[出典] 村山内閣総理大臣演説集,258−259頁.
[備考] 
[全文]

 本日ここに、「阪神・淡路大震災犠牲者神戸市合同慰霊祭」が執り行われるに当たりまして、謹んで哀悼の言葉を捧げます。

 去る一月十七日に発生しました阪神・淡路大震災により、多くの方々の尊い命が失われたことは、まことに痛恨の極みであり、哀惜の念に堪えないところであります。最愛の肉親を亡くされた御遺族の方々の深い悲しみに思いをいたすとき、悲痛の情、胸に迫り、言うべき言葉を知りません。

 あの痛ましい日から一月余りが経過いたしましたが、突然の災害に遭われ、命を亡くされた方々の無念さを思い、悲しみは深まるばかりであります。

 かつて皆様方が生まれ育ち、遊び、働いたこの故郷は、あの地震によって未曾有の大きな被害を受け、愛する御家族の方々の多くも、今もなお避難生活を送っておられます。

 今、御霊前に臨み、私は、災害から国民の生命を守る責務の重大さを改めて痛感しております。残された御遺族の方々が、一日も早くこの厳しい試練を克服され、生活を再建していかれるよう、国としても力を尽くしていくことこそ、亡くなられた皆様に報いる途であると確信いたします。このため、政府を挙げて、被災された方々に対する救援や被災地の復旧に全力で取り組みますとともに、災害対策に万全を期してまいる決意であります。そして、皆様方の愛したこの故郷が新しい未来に向かって活気と創造溢れる街として再生していかれますよう、地元の方々と手を携えてその復興に最善の努力を尽くしてまいることを、御霊前に固くお誓い申し上げます。

 終わりに、御霊の御冥福を衷心よりお祈りいたしますとともに、御遺族の皆様方に重ねてお悔やみを申し上げて、慰霊の言葉といたします。