[文書名] PKOゴラン高原派遣隊員の出発に際しての挨拶(橋本龍太郎)
国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)に参加する第四次輸送隊の諸君の出発に当たり、一言、はなむけの言葉を申し上げます。
ゴラン高原国際平和協力業務の実施の閣議決定を受け、我が国要員・部隊がゴラン高原において活動を開始してから、早くも一年半が経過しようとしております。
この間、中東和平に関しては、イスラエル・パレスチナ間合意によるヘプロンからのイスラエル軍の一部撤退等の動きがありましたが、ゴラン高原の返還問題を含むイスラエル・シリア間の交渉はいまだ具体的な成果を生んでいません。このような中、UNDOFはゴラン高原に展開することにより、この地域の安定に寄与し、中東和平プロセスを下支えする大きな役割を果たしております。諸君の任務は中東和平のための我が国の人的貢献として極めて重要なものであるとともに、我が国に対する国際社会からの期待に十分こたえるものであると考えております。
非常に喜ばしいことに、現在までの我が国の要員・部隊の諸君は、重大な事故もなく着実に業務を実施し、その職務の遂行振りは関係者が高く評価するところであります。
これから任地に赴く第四次輸送隊の諸君におかれては、気候厳しき折り、不慣れな土地での業務は容易ならざるものであろうことは想像に難くないところでありますが、日頃の厳しい教育訓練を通じて高い能力を培われてきた諸君ならば、困難を克服し、これまでと同様、我が国の代表として立派に大任を果たされるものと私は確信しております。
政府としては、諸君の安全と円滑な活動を確保するため、全力を挙げて支援を行う考えでありますが、諸君におかれましても、健康と安全に十分留意されるようお願いいたします。
また、留守を守るご家族のご苦労には、この場を借りて深く感謝申し上げたいと思います。
諸君が立派に業務を果たし、つつがなくご帰国されることを心から祈念し、この意義深い任務に従事される諸君に改めて敬意と謝意を表して、私のあいさつとさせていただきます。