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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 男女共同参画社会づくりに向けての全国会議における挨拶(橋本内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 1997年9月19日
[出典] 橋本内閣総理大臣演説集(下),823−824頁.
[備考] 
[全文]

 「男女共同参画社会づくりに向けての全国会議」の開催に当たり、一言ごあいさつ申し上げます。

 まず始めに、本日の会議のため、全国各地からこのように多くの方々がご参加くださいましたことに対し、厚くお礼申し上げますとともに、皆様方が日頃から男女共同参画社会の実現に向けてさまざまなご尽力をされておりますことに、心から敬意を表するものであります。

 本会議のテーマであります男女共同参画社会とは、女性と男性とが互いに支え合い、喜びも責任も共に分かち合う社会であります。私は、来るべき二十一世紀に向けて、国民一人一人が将来に夢や目標を抱き、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できる社会、また、世界の人々と分かち合える価値を創り出すことのできる社会を目指して、六つの改革に取り組んでおります。私の目指すこの社会の姿を男女という観点からとらえたものこそ、男女共同参画社会に他なりません。経済・社会環境が急速に変化する中で、我が国の社会を豊かで活力のあるものにしていくためには、このような社会の実現が不可欠であります。言いかえれば、男女共同参画社会の実現こそ、我が国の将来を決定する大きな鍵であり、社会のあらゆる分野における「変革と創造」の大きな柱であると確信しております。

 このような認識の下、私が本部長を務めております男女共同参画推進本部において、昨年十二月に、新たな国内行動計画として「男女共同参画二〇〇〇年プラン」を策定するなど、政府におきましては、従来より、体制整備を図りつつ、総合的かつ体系的な施策の推進に取り組んでおります。現在、この「二〇〇〇年プラン」に盛り込んだ課題を中心に、各種施策の着実な実施を進めております。

 また、去る四月には、政府の推進体制の強化の一環として、新たに法律に基づく男女共同参画審議会が設置されました。同審議会に対しては、私から、「男女共同参画社会の実現を促進するための基本的方策」と「女性に対する暴力」の二つの問題に関して諮問したところであり、今後、活発なご議論がなされるものと期待しております。

 もちろん、男女共同参画社会は、政府の取組みのみで実現できるものではありません。女性と男性とが力を合わせて「変革と創造」を実現していくためには、男女を問わずすべての人々が自らの問題として活動していただくことが不可欠であり、政府や地方公共団体、民間等の緊密なパートナーシップが極めて重要であります。

 本日の会議により、「二〇〇〇年プラン」について、ご参集の皆様がご理解をより一層深められ、また、男女共同参画社会の実現に向けて、私ども政府と皆様の間で、共に取り組んでいくための新たなきずなが築かれることを期待しております。

 男女共同参画社会の実現に向け、政府としてもさらなる努力を続けてまいる所存でありますので、皆様の一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、私のあいさつといたします。