データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 米国等による対イラク武力行使に関する小渕内閣総理大臣コメント

[場所] 
[年月日] 1998年12月17日
[出典] 小渕内閣総理大臣演説集(上),117‐118頁.
[備考] 
[全文]

一、十七日午前七時前(日本時間)、米国及び英国の合同軍が、イラク国内の軍事目標に対する爆撃を実施したと承知している。

二、UNSCOM(大量破壊兵器の廃棄に関する特別委員会)の報告書にもあるように、イラクのUNSCOMへの協力再開は不十分であると言わざるを得ず、イラクの対応は、九一年の湾岸危機の際の停戦条件を定めた国連安保理決議六八七を含む一連の関連安保理決議、及び本年二月にアナン国連事務総長とイラク政府との間で合意された了解覚書に対する重大な違反である。

三、これまで、国連安保理及び関係各国は、イラク政府が、UNSCOM及び国際原子力機関(IAEA)に対し完全かつ無条件に協力するよう働きかけるとともに、関連安保理決議を完全に履行するよう最大限の外交努力を行ってきた。我が国もイラク政府に対し、申入れを繰り返し行うとともに、安保理での対応を含め、関係国と協力しつつイラク側の対応是正を求めるべく努力してきた。しかし、誠に遺憾ながら、UNSCOMに対するイラクの協力が得られず、このような事態に立ち至った。

四、我が国としては、上記のような経緯に鑑み、今回の米国及び英国による行動を支持する。

五、我が国は、イラク政府が関連安保理決議上の義務を即時かつ無条件に受け入れることを強く求める。これにより、国際社会との関係が正常化され、国際の平和と安全が一日も早く達成されることを改めて強く希望する。また、あわせて、イラク国民の窮状が速やかに是正されることを強く希望する。