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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 米の関税化特別措置に関する小渕内閣総理大臣コメント

[場所] 
[年月日] 1998年12月18日
[出典] 小渕内閣総理大臣演説集(上),119−120頁.
[備考] 
[全文]

一、政府は、ガット・ウルグァイ・ラウンド農業交渉において選択した米についての関税化の特例措置に関して、特例措置の実施状況、国内の米の需給状況等を総合的に勘案し、また、農業団体等関係者間での真剣な議論の結果をも踏まえて、今般、我が国の国益にとっての最善の選択として、来年四月からの関税措置への切換えに向けた所要の手続きを進めることといたしました。

二、改めて申し上げるまでもなく、米は国民の主食であり、稲作は我が国農業の基幹をなすものであります。稲作を中心とした水田農業を確立し、農業者が将来にわたって安心して営農にいそしむことができるようにするためには、適切な国境措置と併せて、その体質強化に向けた総合的な取組みが必要であります。このため、新たな国境措置の下で、持続可能で効率的な水田農業経営を早急に実現させる観点から、先般、農林水産省で与党・関係団体と一体となって取りまとめられた「農政改革大綱」に基づく施策の具体化の中で適切に対応してまいります。

三、また、WTO農業協定全般に関わる交渉については、西暦二〇〇〇年の年初から交渉が開始される予定になっておりますが、今回の決定を、次期交渉において、我が国農業・農村の発展のための確かな成果を得るための出発点とする必要があります。このため、政府全体が一丸となって対応していくことはもちろんのこと、与党、農業団体とも一体となって、我が国の立場や主張についての国民合意の形成、国際的な理解の獲得に向け、最大限の努力を行います。

四、国民各位におかれましては、我が国食料・農業・農村問題への理解を深めていただき、今回の決定が稲作を中心とする我が国農業の持続的な発展と国民の豊かな暮らしを守る国民的取組みの契機となるよう、御支援、御協力をお願いする次第であります。