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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 対人地雷廃棄公開式典における小渕内閣総理大臣の挨拶

[場所] 
[年月日] 2000年1月17日
[出典] 小渕内閣総理大臣演説集(下),815‐816頁.
[備考] 
[全文]

 本日、ここに饗庭野において、昨年三月一日に発効した対人地雷禁止条約を着実に履行する大きな一歩として、我が国の自衛隊が保有する対人地雷の廃棄が開始され、これを公開することとなりました。この条約の締結は、私が外務大臣在任中より全力を挙げて取り組んだ課題であり、感慨もひとしおであります。

 作業開始に当たりまして、地元の皆様方のご理解とご協力に改めて感謝申し上げますとともに、本事業の国際的意義をお汲み取りいただき、引き続きご支援を賜りますようお願いいたします。また、日頃から対人地雷の廃絶に向けて国境を越えてご活躍されておられますNGOの皆様には、この機会に深く敬意を表する次第であります。

 作業を実施される旭化成工業株式会社を始めとする各企業の方々に対しましては、政府の取り組みへの積極的なご対応に深く感謝いたしますとともに、今後とも万全を期した安全対策をお願いするものであります。

 防衛庁、自衛隊の諸君には、本日の公開の労を多とするものであります。

 私は、全世界において、対人地雷により一般市民が死傷している状況を何とかできないものかと、かねてより考えて参りました。このため、「犠牲者ゼロ・プログラム」を提唱するなど、対人地雷の禁止や除去、そして犠牲者支援などに尽力してきた次第であります。先日カンボジアを訪れた際も、地雷対策センターに足を運び、改めてその悲惨さを痛感するとともに、地雷廃絶の必要性について再認識したところであります。

 我が国としては、今後とも、普遍的かつ実効的な対人地雷の禁止の実現と地雷の除去、更には犠牲者の支援において、国際社会の中で積極的な役割を果たすよう努力して参る所存であります。本日は、我が国のこのような強い意思を広くアピールすることができる機会となるものと考えております。

 最後になりましたが、対人地雷による一人の犠牲者もでない世界が実現することを心から祈念して私の挨拶とさせていただきます。