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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 小泉内閣総理大臣年頭所感

[場所] 
[年月日] 2002年1月1日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

 新年明けましておめでとうございます。

 昨年12月1日の愛子内親王殿下のご誕生を、心からお祝い申し上げ、健やかなご成長をお祈り申し上げます。

 昨年4月に内閣総理大臣に就任して以来、我が国の「聖域なき構造改革」に全力で取り組んでまいりました。「改革なくして成長なし」の方針の下、あらゆる分野において改革を推進しております。

 厳しい経済情勢にあって、日本経済の再生を図る道は、経済の持続的な成長力を高めるための構造改革以外にありません。改革を加速しつつ、デフレスパイラルに陥ることを回避するため、先に「緊急対応プログラム」を策定し、これに基づき第2次補正予算を編成しました。平成14年度予算は、「改革断行予算」と位置づけ、国債発行額を30兆円以下に抑えつつ、特殊法人への支出を1兆円削減する一方、歳出を抜本的に見直し、重点化を図りました。同時に、改革に伴う「痛み」を和らげるため、雇用対策には最優先で取り組んでまいります。

 行政改革では、道路4公団等の廃止・民営化を含めた「特殊法人等整理合理化計画」を策定するなど、大きな進展がありました。「民間でできることは民間で」を原則に、引き続き大胆な行革に取り組んでまいります。

 国民が生きがいと希望をもって、安心して生活していくためには、暮らしの構造改革が欠かせません。医療制度については、患者、保険者、医療機関で痛みを分かち合い、持続可能な制度に再構築するほか、社会保障、都市再生、環境などの分野で一層の改革に取り組んでまいります。

 昨年は、9月の同時多発テロ、12月の不審船事件と我が国の安全保障に大きくかかわるできごとが続きました。我が国は、テロの防止と根絶に向けた国際社会の取組みに、今後とも積極的に協力します。同時に「備えあれば憂いなし」との心がけで、様々な事態に対応できる体制を整えていく必要があります。

 米国との同盟関係と国際協調は、我が国の平和と繁栄のための基本です。2002年は、アジアの近隣諸国との交流の上で節目の年であり、国民的な盛り上がりを期待しています。

 世の中を動かすのは国民一人ひとりです。皆さんからの幅広い支持があるからこそ、これまで不可能だと思われてきたことが着実に実現の方向へ向かっているのではないでしょうか。自信と希望を持って、本年も改革に全力を尽くす決意です。

 小泉内閣に対する国民各位の一層の御理解と御協力をお願いいたします。

平成14年1月1日

内閣総理大臣 小泉純一郎