[文書名] 小泉内閣総理大臣による年頭所感
新年あけましておめでとうございます。
「改革なくして成長なし」、この方針をかかげて、小泉内閣が誕生してから五回目の新年を迎えました。
私は就任以来、わが国の再生と発展に向け、金融、税制、規制、歳出にわたる広範囲な構造改革を進めてまいりました。この結果、日本経済は、不良債権の処理目標を実現し、政府の財政出動に頼ることなく、民間主導の景気回復への道を歩み始めました。改革の芽が様々な分野で大きな木に育ちつつある現在、改革を止めてはなりません。
昨年は、衆議院総選挙において、多くの国民の皆さんの信任をいただき、「改革の本丸」である郵政民営化法の成立を見ることができました。引き続き「民間にできることは民間に」との方針に立って、政府系金融機関の改革、公務員改革など、改革をさらに加速させてまいります。三位一体の改革については、「地方にできることは地方に」との方針の下、約四兆円の補助金改革、三兆円規模の国から地方への税源移譲、そして地方交付税の見直しを当初の方針どおり実施いたします。
経済を巡る情勢は、地域や業種によっては一部に回復の遅れが見られるものの、構造改革の進展によって、3年連続でのプラスの経済成長が続き、失業率の低下や企業部門の収益力向上など、力強さを取り戻しはじめました。引き続き、デフレ脱却に努めるとともに、構造改革特区や「一地域一観光」などを活用して、地域の知恵や工夫を活かし、一層の経済活性化の実現に努めます。
環境と経済の両立を目指すとともに、国民の安全と安心を確保するために、テロ対策や国内の各種犯罪の防止に努めます。
わが国の安全と繁栄のためには、世界の平和と安定が欠かせません。引き続き日米同盟と国際協調を外交の基本として、近隣諸国をはじめ各国との友好関係の一層の増進を図ってまいります。昨年末、イラクにおける自衛隊による人道復興支援活動を1年間延長することを決定しました。自らの手で平和な民主国家を建設しようとしているイラク国民に対し、各国と協力しながら必要な支援を行い、国際社会における日本の責任を果たしてまいります。
改革に終わりはありません。国民の皆さまの支持なくして改革は実行できません。日本社会には、ようやく新しい時代に挑戦する意欲と自信が芽生えてきました。改革を止めるなという多くの国民の皆さまの声を真剣に受け止めて、改革を続行していきたいと思います。
皆さまの一層のご理解とご支援をお願い申し上げるとともに、本年が皆さま一人ひとりにとって実り多い素晴らしい一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。
平成18年1月1日
内閣総理大臣 小泉 純一郎