[文書名] パキスタン・フレンズ首脳会合における鳩山内閣総理大臣メッセージ
今般、首脳レベルのパキスタン・フレンズ会合開催の労をお取り頂いた、共同議長国の米国、英国、パキスタンに感謝申し上げます。また、ザルダリ大統領閣下が、パキスタン文民政権の大統領ご就任以来一周年を迎えられたことを、衷心より御祝い申し上げます。
(テロとの闘いにおける決意表明)
ニューヨーク等、米国の中枢を襲った9・11テロ事件から8年、国際社会はテロとの闘いを共に進めてまいりました。しかしながら、アフガニスタンとパキスタンの国境地域では、テロ組織や武装勢力が未だに聖域を設け、地域情勢を不安定化させています。テロとの闘いは継続しています。とりわけ、パキスタンの安定は、当該地域だけでなく、世界にとって喫緊の課題です。私は、2001年12月にパキスタン及びアフガニスタンを訪問して以来、毅然としてテロに立ち向かっていくことの重要性を十分認識し、その世界的な取り組みに協力する決意を強くしてまいりました。
(パキスタン政府の武装勢力対策を評価)
今年春、武装勢力がパキスタン北西辺境州(NWFP)マラカンドで支配地域を拡大させ、地域を混乱に陥れました。これに対し、パキスタン政府が断固とした行動を取り、大量の国内避難民(IDP)が発生するという困難な事態と対峙しながらも、治安を回復しました。日本はパキスタン政府によるテロリスト掃討に向けた努力と行動を評価しています。我が国は、戦闘の影響を受けた地域の復旧と民生回復に向けた、パキスタン政府の包括的な取り組みに期待しています。しかし、テロは軍事的手段によってのみ根絶できるものではありません。パキスタン政府は、過激派勢力に打ち勝つために、人々の心をとらえる必要があります。
(東京での支援国会合及び我が国支援)
今年4月、我が国は東京において、フレンズ会合と続けてパキスタン支援国会合を開催し、10億ドルの支援を約束しました。その一環として、テロ対策支援を目的とする約4700万ドル(約45億円)を拠出する予定であることを本日表明します。日本は、これからもパキスタンのテロ対策及び経済支援等の取組を引き続き支援していきます。
(フレンズ・プロセスの意義)
ザルダリ大統領閣下の御就任と共に発足した「民主的なパキスタン・フレンズ」プロセスは、ちょうど一周年を迎えました。この一年間、フレンズ・プロセスは、パキスタン政府のオーナーシップによるテロ対策や経済改革、国際社会による支援の継続に向けた政治的モメンタムを維持する上で、重要な役割を果たしてきました。先月には、イスタンブールにおいてフレンズ閣僚会合が開催され、東京会合のフォローアップが行われました。同会合でパキスタン政府より、マラカンド地域における掃討作戦の復旧・民政安定化に向けた喫緊の課題として、「マラカンド包括的安定化・社会経済開発戦略」が示され、具体的な議論がなされたことを評価いたします。
パキスタンが長期的に安定し、発展することは、地域の安定と繁栄のためにも重要です。我が国は、パキスタンの安定的発展のための戦略や政策の議論を行う場として、フレンズ・プロセスに積極的に参加すると同時に、必要な支援を提供してまいります。
本日の首脳会合でも、パキスタンと国際社会が新たな連帯を強め、大いなる成果が示されることを心から期待致します。