データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 気候変動枠組条約第15回締約国会議首脳級会合:鳩山総理ステートメント

[場所] コペンハーゲン
[年月日] 2009年12月18日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

ラスムセン首相、

潘基文(パン・ギムン)事務総長、

各国代表の皆様、

御列席の皆様、

 まずはじめに、議長のラスムセン首相に対し私から、心からの感謝と敬意を表明したいと思います。

 私が日本を出発する際には、交渉の状況は大変厳しいと聞いていました。ただ、やはり美しい地球を守るためには、何とか交渉を成功に導かなければならない、我々の子孫のために、それぞれの国のエゴを捨てて協力するという姿勢が非常に大事だと思って、コペンハーゲンに参りました。

 そのため、私も最大限の努力をしています。産業界の懸念を押し切って、1990年比でいえば2020年までに25%の削減を目指すことを表明しました。また一昨日、2012年末までに公的資金で約110億ドル、官民合わせて約150億ドルの途上国支援を発表しました。これらは、全ての主要国による公平かつ実効性のある枠組みの構築と意欲的な目標の合意を前提としたものです。

 昨夜、この困難な交渉を打開しようと我々が集った時私は、ひとつの政治的文書をまとめて世界に示すことが必要だと主張しました。これまで2つの作業部会でまとまった点を大切にしながら、たとえ不十分であっても力強い政治合意を作ることが求められています。それができなければ、我々は首脳としての責任を果たしたことにならない、それでは世界に対して恥ずかしいと考えたからです。

 そして私たちは、同じ意思を共有して一つの政治合意を作ることに精力的に努力を傾けました。その結果を、ここにいる皆さんの賛同を得て、今日の午後採択すべきと考えます。そうすれば、私たちは今日、このコペンハーゲンで、国家間の利害を乗り越えて、まだ見ぬ未来の子供たちのために、地球を救うという大きな大義を持って、全員参加型の国際的枠組みに向けての大きな一歩を踏み出すことになります。

 そして我々の更なる仕事は、この政治合意の文言を踏まえて、可能であれば来年の中盤までに、新しい一つの包括的な法的文書を完成させることであるべきです。これは困難な仕事です。しかも、残された時間がたくさんあるとは言えません。それだけに、我々首脳が引き続き関与をしていくことが不可欠と考えます。私自身、そのために努力を惜しむつもりはないことをお伝えするとともに、ご列席の皆様にも共に力をあわせて協力して頂くことを心からお願いしたいと思います。

 今日が歴史的な日になることを願っています。有難うございました。