データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第18回APEC首脳会議 首脳宣言採択 総理発言

[場所] 横浜市
[年月日] 2010年11月14日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

 APECの21の国・地域の首脳は、先ほど、「横浜ビジョン」と題した首脳宣言を採択しました。

 アジア太平洋は、その強靱な回復力を示しています。この地域が、将来にわたり、世界の成長センターとして、世界をけん引し続け、好機をつかんでいくため、我々APEC首脳は、アジア太平洋地域の将来像をとりまとめ、これを「横浜ビジョン」として合意しました。その将来像とは、次のとおりです。

 第一に、我々は、貿易・投資の自由化・円滑化を更に進め、より深化した経済統合を推進する、 「緊密な共同体」を目指します。

 これを実現するため、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)をAPECとしての目標に掲げ、ASEAN+3、ASEAN+6、TPPなど、現在進行中の地域の取組を基礎として更に発展させることにより、FTAAPの実現に向けて前進します。このため、投資、サービス、国際物流円滑化などの分野で取組を続けます。

 第二に、アジア太平洋地域が持続的な成長を実現し、成長の質が更に向上する、「強い共同体」を目指します。

 これを実現するため、APECとして、初めて成長戦略を策定いたしました。今後はこれを、構造改革、人材・起業家育成、グリーン成長、知識基盤経済及び人間の安全保障といった分野に焦点をあて、実行計画に従って着実に実施します。また、財政及び金融面での取組を強化します。

 第三に、人々が自由に安心して経済活動に従事することができる、「安全な共同体」を目指します。

 これを実現するため、貧困削減、テロ対策、自然災害対策のための取組を更に強化します。また、食料安全保障を確保するため、具体的なイニシアチブを推進します。

 以上、私が御説明しましたとおり、我々APEC首脳は、ここ横浜において、アジア太平洋地域の将来像とその実現に向けた取組に合意しました。私たちの生きる21世紀は、新たな好機と課題に満ちあふれています。私は、この「横浜ビジョン」を実現することにより、アジア太平洋地域、ひいてはこの地域を越えた地域の人々に更なる繁栄と福祉の向上をもたらすことができると確信しています。