[文書名] 内閣総辞職にあたっての内閣総理大臣談話(菅直人総理大臣)
私は、総理就任時に、政治が目指す目標として「最小不幸社会」の実現を掲げ、「雇用の確保」を重視した「新成長戦略」の推進、特命チームによる課題解決、地域主権改革を推進しました。
社会保障と財政の改革については、精力的に議論を重ね、「社会保障・税一体改革」の成案をまとめました。この問題は、もはや先送りできません。今後、与野党の論議等を通じ、改革が推進されることを心から希望します。
外交面では、日米首脳会談等を通じて日米同盟を深化させるとともに、横浜APEC開催などにより、近隣諸国との関係強化を推進し、安全保障面でも新防衛大綱策定などに取り組みました。
本年3月11日の東日本大震災と東京電力福島原子力発電所の事故の発生は、大規模かつ広範にわたる被害をもたらしました。この未曾有の災害に対し、発災直後から被災者の救出・救助に取り組み、その後、仮設住宅の建設やガレキ撤去、被災者の生活支援など、復旧・復興に向け、被災地の方々とともに懸命に取り組んでまいりました。
また、原発事故の収束に全力を挙げ、その結果、「安定的な冷却」状態が実現できました。さらに、今回の事故を受けて、エネルギー政策を白紙から見直し、原発依存度低減のシナリオの作成や原子力政策の徹底的な検証、原子力安全規制の組織の根本的改革を行うことを決定しました。
しかし、今なお残された課題は多くあります。新内閣において、復旧・復興と事故収束に向けた取組を一層推進されることを期待します。
本内閣において、必ずしも十分な対応ができなかった点については、大変申し訳なく思っております。歴史がどう評価するかは、後世に委ねますが、私を始め閣僚全員は、その持てる力の全てを挙げて誠心誠意取り組んできました。今後、新内閣の下で、大震災から日本が力強く再生することを願ってやみません。
これまでの間の国民の皆様のご支援とご協力に感謝いたします。ありがとうございました。