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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 南スーダン国際平和協力隊隊旗授与式における野田内閣総理大臣訓示

[場所] 
[年月日] 2012年1月7日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

 南スーダン国際平和協力隊隊旗授与式に際し、内閣総理大臣として一言、激励の言葉を申し述べたいと思います。

 本日は、現地調整に当たられる生田目 徹(なまため とおる)一等陸佐、施設隊長を務められる坂間 輝男(さかま てるお)二等陸佐をはじめとする隊員諸君に、3つの言葉を胸に刻んで頂きたいと思います。

 その第一は、「期待」です。

 南スーダンは、世界の中で最も新しい国、昨年の7月に独立したばかりの国です。独立するまでには、長い長い困難な時期がございました。もちろん国づくりは、自らの手で行うべきものだと思います。でも、それだけでは足りない。国際社会の援助が必要である。これは、国連の潘基文事務総長からも我が国に要請をされました。特に期待をされているのは、諸君がまさにその任に当たる道路を始めとするインフラ整備であります。南スーダンの国民が熱い視線を送っています。国際社会も熱い期待を持っています。この「期待」に、是非、堂々と応えて頂きたいと思います。

 二つ目は、「感謝」であります。

 昨年3月11日、我が国は、東日本大震災という大きな困難に見舞われました。そのあと160を超える国及び地域から暖かい支援が寄せられました。我が国も懸命に復興しなければなりませんが、同時に内向きにならずにグローバルな課題にも果敢に挑戦をし、国際社会に「感謝の気持ち」をまさに身をもって示す。今回はその第一歩だと思います。その「恩返し」の気持ちも、ぜひ献身の汗を通してお示しを頂きたいと思います。

 三つ目は、「誇り」です。

 これまで我が国の自衛隊は、ゴラン高原や東チモールやハイチや様々な国際平和協力活動に携わってまいりました。その規律の高さと、確かな仕事ぶりは、国際社会から高い高い評価を得てまいりました。それは、「我が国自衛隊の誇り」であります。「日本国の誇り」であります。その「誇り」を胸にしっかり秘めて職務に当たって頂きたいと考えております。

 遠いアフリカの地。困難を伴うことも想像されます。本日お集まりのご家族の皆様におかれましてはご心配をされているかと思います。隊員全員が安心して円滑に任務に当たられるよう、政府としても全面的に後押しをすることを誓い申し上げたいと思います。

 「期待」と「感謝」と「誇り」を胸に、見事に任務を完遂し、笑顔で全員で元気にその報告に来られることを心待ちにしていることを申し伝え、私の訓示といたします。

平成24年1月7日

内閣総理大臣 野田佳彦