[文書名] 「世界防災閣僚会議in東北」 野田総理開会挨拶
クラーク国連開発計画 総裁、
ご列席の各国及び国際機関の代表の皆様、
そして、被災地東北の地元自治体の代表の皆様、
並びに御列席の皆様、
日本国の内閣総理大臣、野田佳彦でございます。
初夏の緑が薫る「杜の都」仙台へ、ようこそお越し下さいました。世界各地からお集まりいただいた皆様を心より歓迎いたします。
昨年3月11日に発生した東日本大震災から一年以上の歳月を経ました。しかし、どれだけ時が流れても、世界各国から寄せられた温かい支援と励ましに対する感謝の思いは、決して薄れることはありません。日本国民を代表して、改めて皆様に御礼を申し上げます。
東日本大震災の被災地に各国の閣僚をお迎えして、防災に関する国際会議を開催することは、この未曽有の大震災を経験した私たち日本人にとって、いくつかの「特別な意味」を持っています。
第一に、この国際会議が東日本大震災の被災地各地において、被災地の皆さんの力を借りて開催されることであります。
ご出席の皆様にも、力強く復興への歩みを進める「被災地の今」を肌で感じ、その只中で奮闘する人々の明日へ向かおうとするエネルギーを感じていただきたいと思います。
第二に、この会議が大震災で得た知見や教訓を国際社会と共有していく大きな端緒となることであります。こうした共有作業は、私たちが人類全体に対して負っている重大な責務でございます。
自然災害に負けない、「強靭な社会」を築いていく上での教訓は、多岐に渡ります。「まずは高台に逃げる」といった地域に伝わる伝承の重要性も再確認されました。
科学技術を防災面でも最大限に活用しながら、古くからの知恵が教える警鐘も忘れず、災害のリスクに賢く、しなやかに対処していく。私たちは、そうした姿勢で、様々な知見や教訓を実際に社会の中で活かしていかなければなりません。
第三に、この会議は、我が国が防災協力の分野も含めて、国際社会への積極的な貢献を続けていくことを改めて確認する場になるということであります。
大震災からの復興に懸命に取り組むことは、我が国が内向きに閉じこもってしまうことを意味するものではありません。各国から寄せられた支援や励ましに「恩返し」をする意味でも、我が国は、これからも、国際社会に貢献する道を模索してまいります。
我が国は、災害に強い強靱な社会を世界中に広めていくために、2013年から3年間、30億ドル規模の支援を行います。そして、今回の会議での成果を基にして、2015年には第3回国連防災世界会議を我が国で開催したいと考えており、新たな枠組みの策定にも貢献を続けてまいります。
被災地・東北の復興に向けた足取りを感じながら、大震災で得た災害の現代的な教訓を新たに紡ぎ出し、それを未来へ向かって長く伝承し、世界に向かって広く普及させていく。そうした特別の意味を持ったこの閣僚会合が実り溢れるものとなることを願いつつ、これまでの関係者の御尽力に感謝を申し上げ、私の開会の挨拶とさせていただきます。
ありがとうございました。