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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] アフガニスタンに関する東京会合 野田総理挨拶

[場所] 
[年月日] 2012年7月8日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

カルザイ大統領

潘基文 国連事務総長

そして、すべてのご列席の皆様

 このアフガニスタンに関する東京会合の主催国に名を連ねることは、平和を愛し、国際社会の安定と繁栄への貢献を希求する我が国にとって、大いなる栄誉です。アフガニスタン及び各国から来訪された閣僚の皆様を心より歓迎いたします。

 今から10年前にも私たちはここ東京に集い、未だ「暫定政府」と形容されていた新生アフガニスタンの門出を祝し、新たな国造りを成功に導くことを共に誓いました。

 当時、私たちは、「戦争と悲惨以外、何もない」---そうした嘆きと哀しみの声に耳を澄まし、困難に満ちた厳しい現実と向き合うことから始めなければなりませんでした。新生アフガニスタンの国造りとは、歴史の荒波に翻弄され続けた過去と決別し、白地に絵を描いていく創造的な営みでありました。

 この大事業に着手してから、10年の歳月を経ました。長く続く戦乱で荒廃した大地に、平和が生まれてきています。悲惨の中にも、希望が生まれています。この間、アフガニスタン自らが主導する国造りは大きな進展を遂げ、まもなくアフガニスタン人自身が全土の治安を担うまでに至っています。

 もちろん、多くの課題も残っています。しかし、この10年の間に、今後の発展を育んでいく環境が着実に整ってきていることは間違いありません。

 こうした基礎の上に、より確かな平和と希望の「種」を蒔き、その「芽」を育て、大きな復興の「花」を咲かせていくことができるはずです。

 今般の会合は、すべての関係者がアフガニスタン復興への「誓い」を新たにする場です。アフガニスタンは、ガバナンスの改善をはじめ、復興の歩みを自らの力で実現していく絵姿を示さなければなりません。

 同時に、国際社会は、2014年末で治安権限を完全に引き継ぐアフガニスタンに寄り添っていく姿勢を、具体的な資金貢献の形で示さなければなりません。

 相互の信頼に裏打ちされた新たな誓いが生まれた時、その中に込められたメッセージは、反政府武装勢力を含め、すべてのアフガニスタンの人々の心に必ずや届くことでしょう。今こそ、アフガニスタン復興のプロセスを前進させ続ける強固な意思と真摯な情熱を世界に向けて共に発信しようではありませんか。

 多くの日本人にとって、「復興」という言葉には特別な思い入れがあります。焼け野原から高度成長を遂げた戦後の「復興」は、諸外国からの支援なくして成し遂げることはできませんでした。

 昨年3月に発生した東日本大震災で未曽有の被害を受けた被災地の「復興」にあたっても、世界各国から届けられた励ましと支援が大きな力となっています。震災直後、バーミヤンの人々が日本との連帯を訴える集会を開いていただいたことも、そのうちの一つです。

 荒廃した国土の復興には、国際社会からの支援が欠かせません。それは、物理的な支援だけではありません。

 「世界の誰かと繋がっている」との実感は、絶望と不安に苛まれる人々に明日への希望と勇気を与えてくれることを、日本人は何度も体験してきました。

 だからこそ、世界と共に生きる我が国として、アフガニスタンの復興支援をこれからも続けていくことを改めて誓います。

 こうした我が国の決意に、一つでも多くの国が賛同いただけることを願い、今般の会合が実り溢れるものとなることを祈って、私のご挨拶といたします。

 ご清聴ありがとうございました。