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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第2回野口英世アフリカ賞授賞式における総理式辞

[場所] 横浜ベイホテル東急
[年月日] 2013年6月1日 18:15-20:15
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 天皇皇后両陛下、第5回アフリカ開発会議出席の各国首脳の皆様、御列席の皆様、本日は、第2回野口英世アフリカ賞授賞式に御参列いただき、誠にありがとうございます。

 ピオット博士、コウティーノ博士、御家族の方々に、心より祝福を申し上げます。

 保健は、国際社会の共通の課題であるとともに、日本の経験を踏まえた日本独自の貢献が可能な分野です。この賞は、正に「全ての人々の健康」という崇高な目標に挑戦する卓越した医学研究や医療活動を、アフリカに焦点を当てて国際的に活性化させることを目指すものです。

 このたび私は、国際保健外交戦略を発表し、保健を日本外交の重要な課題として位置づけました。ミレニアム開発目標の達成期限を2015年に控えた現在、ポスト・ミレニアム開発目標策定に向けた取組が行われています。野口英世アフリカ賞が、このポスト・ミレニアム開発目標策定への弾みとなることを期待します。

 ピオット博士とコウティーノ博士は、恐怖心や偏見に果敢に挑戦し、長年、アフリカの現場で感染症に関する研究や活動を続けてこられました。さらに、その成果を国際的な政策に昇華させ、世界的に普及させてこられました。

 このように、両博士は、野口英世アフリカ賞の理念や野口英世博士の精神を具現化しており、まさに受賞に相応しい方々であります。

 野口英世博士の故郷福島は、一昨年3月の東日本大震災で大きな被害を受けました。その際、アフリカの皆様から、物心両面にわたる御支援を頂きました。アフリカの人々を黄熱病から救いたいとの強い思いから、自らアフリカに赴き、研究に命を捧げた野口英世博士にちなんだこの賞を通じて、アフリカの皆様に御恩返しができればと考えております。

 また、郷土の英雄野口英世博士を称えるこの賞が、少しでも、被災された福島の皆様の励みになればと切に願っております。

最後に、ピオット博士とコウティーノ博士の偉業に対し、改めて心からの祝意と敬意を表し、私の式辞とさせていただきます。

(了)