[文書名] TICADV 世銀・UNDP共催防災セッション 安倍総理冒頭挨拶(案)
日本は、自然災害と闘ってきた長い歴史と経験を有しています。地震、津波、台風といった自然災害を避けることはできません。しかし、我々は、その被害を最小限化することを目指さなければならない。これは、2年前の3月、未曾有の震災を経験した日本が新たにした誓いです。あらためて、東日本大震災に際し、アフリカの人々を始め、国際社会から差し伸べていただいた力強い連帯と温かい支援に感謝申し上げます。
被災地は、今、復興に向け、全力で歩んでいます。先般、私は、被災地の一つである福島県の中学生を官邸にお招きしました。その際、私は、中学生の皆さんが、それぞれの夢に少しでも近づけるよう、その環境を作っていくのが政治の仕事だと、決意を述べました。
アフリカは、今、希望の大陸として、夢に満ちあふれています。アフリカの子どもたち、女性、若者が、より良い未来に向かって羽ばたかんとすることを、TICADV を通じ後押しすることができれば、私の望外の喜びです。だからこそ、私は、その夢を奪いかねない自然災害に対する備え、防災の重要性を心から強調したいと思います。アフリカでは、特に干ばつと水害が大きな脅威となっています。
しかも、これらは、気候変動により、その規模や態様が激甚化していると言われています。日本は、気候変動の問題に、長年、真剣に取り組んできました。私が総理に就任して最初に出した指示の一つが、「技術で世界に貢献していく、攻めの地球温暖化外交戦略を組み立てること」でした。アフリカの力強く、持続可能な成長のために、日本として可能な限りの貢献を行ってまいります。
ここに集う皆様には、防災が人間の安全保障に直結した喫緊の課題であることを胸に刻んで帰っていただきたいと思います。日本と世銀は、昨年、IMF 世銀東京総会の機会に、「防災と開発に関する仙台会合」を開催いたしました。開発のあらゆる側面において防災の観点を取り込むべきとの仙台会合のメッセージは、TICADV においても、強く鳴り響くものです。このたび、仙台会合の成果を踏まえ、世銀のプロジェクトに日本の知見と人材を活用することを目的とし、東京に「世銀防災ハブ」が設置されることとなったことを歓迎いたします。
様々な形で、日本は、世界における災害に強い強靱な社会づくりに貢献していきます。私の政権では、防災分野について円借款の借入れ条件の改善や災害復旧スタンドバイ借款の創設など、様々な取組を進めています。また、2015年3月には、仙台市で「第3回国連防災世界会議」を開催し、国際社会がより効果的に防災に取り組むことができるよう、その努力を主導していく決意です。
気候変動対策と防災に真摯に向き合い、人の命と開発の成果を守るアフリカ。ますます躍動するアフリカを目指す我々のビジョンに、欠くことのできない要素であると確信しています。本会合で実り多き議論がなされることを期待しています。
(了)