データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本・モザンビーク投資フォーラムにおける安倍総理大臣スピーチ

[場所] ポラナホテル
[年月日] 2014年1月12日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

ゲブーザ・モザンビーク共和国大統領閣下、

 ご列席の皆様、

 本日は、日本・モザンビーク両国の官民のリーダーの皆様に、大勢お集まりいただき、心より御礼申し上げます。

 昨年の6月、TICADVの席上、ゲブーザ大統領閣下は、富と雇用の創出、貧困撲滅に民間セクターが果たす役割を強調されました。そして、日本の民間セクターとの対話が両国の連携の核心と表明されました。

 この声に呼応し、本日、日本のビジネス各界、大学、医療研究機関の代表がここに集まる運びとなり、喜びに堪えません。

 モザンビークは今や日本のアフリカビジネスの中心に変貌を遂げようとする、躍動感溢れる国であります。

 世界最大級の天然ガス田、アフリカ最大級の原料炭田。豊富な資源を持つモザンビークと高い技術力を持つ日本が協力をすれば、お互いの国により多くの富をもたらすのは間違いないと確信をしています。

 豊かな資源とその活用によって得られる富は、モザンビーク自身の宝です。その恩恵はモザンビーク国民によって分かち合われ、持続的な成長、国民生活の向上のために、役立てられなければなりません。

 このために、日本は官民でお役に立つことができます。三菱商事が参画し、今や国内最大産業となるアルミ精錬工場に成長したモザールが好例です。

 モザールは、技術を現地に移転し、1000人超の直接雇用、周辺産業含め1万人を超える間接雇用を生み、地域での社会事業を通じた利益還元を行っています。日本企業が投資をするとは、こういうことなのです。

 モザンビークが、日本企業とのビジネスを通じて、技術を手にする。自らの手で産業を振興し、成長の恩恵を多くの国民が享受をする。このために、日本政府はODAをはじめとする公的資金を活用し、民間企業と一体となって貢献を果たしてまいります。

 まずは、人造りです。モザンビークの皆様が皆様の手で、資源開発や資源を利用した産業開発、そして環境対策を行うために、日本はTICADVで発表した「ABEイニシアティブ」や今回発表した「天然ガス・石炭発展イニシアティブ」等を通じて、今後5年間で300名以上の人材育成を支援してまいります。

 資源開発が、地域格差や環境問題を生まないことも重要であります。日本はナカラ回廊地域を中心とした開発に向けて、今後5年間で700億円の包括的な支援を行います。道路、港湾、エネルギー等のインフラ整備や、人間の安全保障の視点に基づく教育・保健等の支援を強化します。

 投資環境の更なる改善を含むモザンビーク自身の取組と、日本の官民の力を合わせれば、必ずや両国の成長に資するパートナーとしての関係が築かれることでしょう。

 ご列席の皆様、

 TICADVで、私は日本国民に対し、「アフリカに投資するなら今」と呼びかけました。日本経済は今、力強く復活しつつあります。本日、モザンビーク、そしてアフリカの皆様に対し、「日本をビジネスパートナーに選ぶなら今」とこう申し上げたいと思います。

 先程、大統領には日本食を試食していただきました。日本のおいしい果物、カレーライスをちょっと。そしてお寿司も食べていただきました。日本食は常に精魂込めて、職人の技術を活かしていることもご理解いただけたのではないかと思います。

 本フォーラムが、本日の首脳会談で合意した、官民合同対話の立ち上げに向けた一歩となり、対話の強化を通じて、両国の友情パートナーシップが一層深まることを期待してやみません。

 有難うございました。ムイント・オブリガード(どうもありがとう)!