[文書名] 国連PKOに関するハイレベル会合における安倍総理大臣スピーチ
御列席の皆様、
PKOは、世界の平和と安全のために国連が行ってきた様々な取組の中でも最も重要なものです。共催者として本日の会合に参加できることは私の喜びであり、会合を提案したバイデン米副大統領のイニシアティブに心より感謝いたします。
PKOの基本的なあり方について勧告を行ったブラヒミ報告から、来年で15年です。今また岐路に立つPKOに関して、潘基文事務総長が戦略的レビューを開始したことは大変時宜を得ております。昨年の国連総会で「積極的平和主義」の旗を掲げた日本も、国際の平和と安全の維持のため関係国及び国連と積極的に協働していきます。
PKOは年々拡大し、任務は多様化しています。ブルーヘルメットのPKO要員は、現場の変化に対応し、文民の保護等の重要任務を遂行することが求められています。
PKO要員が自らの安全を確保しつつ、迅速に、効果的・効率的に活動するためには、十分な能力強化を始め、課題は少なくありません。
そのためにも、主要な財政貢献国と要員派遣国が互いに協力していくことは大変有意義です。
御列席の皆様、
本日は、「積極的平和主義」に基づく、我が国のPKOに関する3つの具体的な貢献について申し上げます。
第一に,国連PKOへの更なる積極的な参加です。日本は、7月の閣議決定を踏まえ、安全保障分野の国内法制を整備していきます。
日本は、PKOの円滑化に欠かせない施設や輸送の分野で確かな信頼を得てきました。今後とも、PKOの早期展開を支援し、質の高い活動を実現するため、自衛隊による更なる貢献を検討します。
また、ミッション司令部や国連事務局を始め、責任ある重要なポストへ自衛官を派遣します。
第二に、PKOの成功のためには、要員の質の向上のための取組が欠かせません。日本は、国連が行う能力構築を支援します。
例えばバングラデシュはPKO軍事要員の最大派遣国です。私はハシナ首相と今月会談し、国連による訓練の実施に向けた協力を確認しました。
またPKO部隊マニュアルの取組にも、我が国は施設分野の議長として主導的役割を果たしています。
平和構築の現場では、優秀な文民専門家が不足しています。日本は、国際社会で活躍できる人材を質量とも一層育成していきたいと考えます。その際、女性の保護と参画の視点の強化に取り組んでいきます。
第三に、特にアフリカにおいて、PKOの早期展開は喫緊の課題です。この観点から、米国が先月発表したAPRRP構想は有意義なものであり、日本はこれを支持します。日本は国連にある信託基金を活用し、新たに、重機などの装備品供与と各国要員への操作教育をパッケージで行っていく用意があります。またアフリカ各地のPKO訓練センターへの貢献もしっかり継続していきます。
PKOは「平和」という川向うの岸にかけられた「橋」です。国際社会は平和への架け橋を用意することはできますが、実際に橋をわたるのは紛争当時国の一人ひとりの人間です。日本は、人間の安全保障の考え方に立脚したPKOへの確かな貢献を継続していきます。最後に、国際社会の平和と安全に献身している全てのPKO要員とその支援にあたっている方々に敬意を表し、私の発言を終えたいと思います。