[文書名] 「海の日」を迎えるに当たっての内閣総理大臣メッセージ
日本は、国土面積の約12倍、世界第6位の海域面積を誇る「海洋国家」です。海は、古来、私たちに豊かな食をもたらし、物や人が行き交い、子供にとっては遊びと学びの場でした。日本は、海を利用して産業を興し、近代化を遂げてきました。海が日本という国の形を作ってきたと言っても過言ではありません。
海洋産業には、新たな可能性が生まれています。近年、日本周辺の海域に、新たなエネルギー資源や鉱物資源が眠っていることがわかってきました。海洋エネルギー・鉱物資源開発、海洋プラント等の産業を創出する海洋資源開発が、我が国の成長を牽引するフロンティアとなることを期待しています。
この海の恵みを後の世代に引き継いでいかなければなりません。そのためには、海洋を、国際法の下、人類共通の公共財として守っていくことが必要です。伊勢志摩サミットでは、私が国際社会に繰り返し訴えてきた「海における法の支配の三原則」がG7首脳宣言として採択されました。国際法に基づく主張、緊張を高める一方的な行動の自制、平和的手段による紛争解決というこの三原則を、国際社会とともに徹底させていきます。
昨年秋からは、アジア各国の海上保安機関の幹部候補生が、日本の海上保安官とともに日本で海上保安政策を学んでいます。世界の平和と繁栄のため、各国と志をともにし、海を護る絆を固めてまいります。
海と接し、海を知ってこそ、海を活かす知恵が生まれます。特に若い皆さんに、海に関心を持ち、触れて頂きたいと思います。海洋教育の取組を強化していくため、産学官オールジャパンによる海洋教育推進組織「ニッポン学びの海プラットフォーム」を立ち上げることといたします。この「プラットフォーム」を通じて、2025年までに、全ての市町村で海洋教育が実践されることを目指します。
私は、「海の日」が国民の皆様にとって、海に親しみ、海の恩恵に感謝するとともに、海と日本の未来に思いを馳せる機会となることを切に希望します。
平成28年7月18日
内閣総理大臣・総合海洋政策本部長 安倍晋三