データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] JICAハイレベルパネル 安倍総理スピーチ

[場所] ケニヤッタ国際会議場(KICC),ナイロビ
[年月日] 2016年8月28日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

 サーリーフ・リベリア大統領、そしてカガメ・ルワンダ大統領、またオバサンジョ・ナイジェリア元大統領、スティグリッツ・コロンビア大学教授、北岡JICA理事長、また各国、国際機関の代表の皆様、御列席の皆様、本日、JICAハイレベルパネルに皆様と参加でき大変光栄に存じます。アフリカ自身が、「アフリカの夢」を描き、日本とアフリカが手を携えて実現していく。それがTICADです。日本は、アジェンダ2063の実現を、全力を挙げて支援してまいります。

 そのために我々にできることは何か。私は、アジェンダ2063の実現のために「未来への投資」を大胆に進めていくことを提案いたします。

 まず、インフラへの投資です。日本はアジェンダ2063に掲げられている「世界クラスのインフラによるアフリカの接続」をG7伊勢志摩原則に則った「質の高いインフラ投資」の展開により推進します。

 現在多くのアフリカ諸国は都市の過密化の問題に直面しています。この問題の解決に、例えば、「ゆりかもめ」で使われているAGTなど、都市型鉄道の技術を活用していくことが有効です。

 次に人材への投資です。2063年及びそれ以降に向け、アフリカはさらに成長し、発展していくと予想されています。それを実現させるカギは、若者や女性の一層の能力開花です。

 そのため、日本は、今後3年間で、研究・実学、ビジネスの実践を通じ、経済活動の核となる産業人材を3万人育成します。科学技術分野の基礎学力強化のため、2万人の理数科教員を育成します。

 アジェンダ2063は、他にもアフリカの平和の実現、国連安保理改革、農業、気候変動問題への対応等、様々な分野の取組を掲げています。

 日本はアフリカに寄り添って、これら取組を一つひとつ実現していくお手伝いをしていきたいと考えています。できるところから迅速に着手していくことが重要です。本日のハイレベルパネルがそのための契機となるよう祈念をさせていただきまして、挨拶とさせていただきたいと思います。