[文書名] 健軍駐屯地における安倍内閣総理大臣訓示
本日、健軍駐屯地を訪れ、任務に精励する諸君を直接激励することができ、大変うれしく思います。
昨年の熊本地震では、多くの隊員諸君が被災者となり、中には御家族が避難所での生活を余儀なくされた隊員もいると聞きます。
それでもなお、全ては国民のため。諸君は、直ちに現場へと駆け付けてくれました。危険も顧みず、夜を徹して懸命の捜索・救助活動に当たり、被災者の不安な心に寄り添いながら生活支援に全力を尽くしてくれました。
自衛隊の最高指揮官として、そして内閣総理大臣として、改めて諸君一人一人に心から敬意を表します。
陸・海・空統合任務部隊の指揮官、小川清史陸将の下、従来の発想にとらわれることなく、自らの発意で能動的に行動してくれた諸君。諸君の姿は、不安な時を過ごす被災者の皆さんにとって、正に希望の光であったと思います。
泥にまみれ雨に打たれながらも、黙々と任務に当たる諸君の姿は、多くの国民の目に鮮明に焼きついています。
本当に頼もしい。国民の負託に全力で応え、国民から揺るぎない信頼を勝ち得た自衛隊を、私は誇りに思います。
政府としては、これからも被災地に寄り添った復旧・復興を継続してまいります。自衛隊は、今後とも、常に国民のそばにあって、安心と勇気を与える存在であってほしいと願います。
諸君が向き合うのは、もちろん大規模災害の脅威だけではありません。
北朝鮮による核・ミサイル開発は深刻さを増し、南西方面では外国軍機による領空接近も増加している。テロの脅威は世界に拡散し多様化しています。こうした現実から、私たちは目を背けることはできません。日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。これが現実です。
こうした現実の下、今や諸君の日々の活動の全てが、我が国の揺るぎない意思と能力を周辺諸国を始め世界に示すものであり、抑止力として大きな力となっています。
我が国防衛上、戦略的に極めて重要な南西地域、島嶼(とうしょ)地域を担任する諸君の役割は一層重要性を増しています。諸君の活躍に、最高指揮官として大いに期待しています。
いかなる事態にあっても、国民の生命と財産、我が国の領土・領海・領空は断固として守り抜く。そして、世界の平和と安定に寄与する。それが、諸君に与えられた責務であります。
日本国民は、常に自衛隊と共にあります。その誇りと自信を胸に、それぞれの持ち場において、果たすべき役割を全うしてほしいと思います。
一人一人が与えられた任務の重要性と責任を自覚し、ますます精励されることを切に望み、私の激励の言葉といたします。
平成29年4月14日
自衛隊最高指揮官 内閣総理大臣安倍晋三