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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 安倍内閣総理大臣コメント(北朝鮮による核実験等に関する国連安保理決議の採択について)

[場所] 
[年月日] 2017年9月12日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

1.北朝鮮が9月3日に6回目となる過去最大規模の核実験を強行したこと等を受け、北朝鮮に対して格段に厳しい制裁措置を課す強力な国連安保理決議第2375号が、全会一致で迅速に採択されたことを高く評価する。

2.北朝鮮が国際社会の強い抗議と警告を無視して、我が国を飛び越える弾道ミサイルの発射を強行し、さらに過去の核実験に比べはるかに大きく、水爆実験である可能性も否定できない核実験を強行したことは、許されざる暴挙であり、唯一の戦争被爆国である我が国として断じて容認できない。今回の核実験及び累次の弾道ミサイル発射を始めとする北朝鮮の挑発行動は、我が国を含む地域の平和と安全に対する、これまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、地域及び国際社会の平和と安全を著しく損なうものである。こうした中、今回採択された安保理決議第2375号は、北朝鮮に対する圧力を従来にない新たな段階まで強化し、北朝鮮に政策を変えさせなければならない、との国際社会の意思を明確に示したものである。

3.北朝鮮が今の道を進んでいくのであれば、北朝鮮は世界からますます孤立し、明るい未来を描くことはできない。北朝鮮が今般採択された安保理決議第2375号を始めとする一連の安保理決議を遵守し、朝鮮半島の非核化に向けた真剣な意思と具体的行動を直ちに示すことを強く求める。

4.日本政府は、引き続き、朝鮮半島の完全で、検証可能かつ、不可逆的な非核化という共通の目標に向け、安保理理事国として、米国や韓国のみならず、中国、ロシアを含む国際社会と緊密に連携しながら、一連の安保理決議の実効性を確保していく。

5.今回の安保理決議の主文では、北朝鮮にいる人々が受けている深刻な苦難に対し、深い懸念が改めて表明された。これは、拉致問題を始めとする北朝鮮の人権・人道問題に対する安保理を含む国際社会の一貫した強い懸念が確認されたものである。

6.日本政府としては、「対話と圧力」、「行動対行動」の原則の下、核、ミサイル、そして、引き続き最重要課題である拉致問題といった北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的解決に向け、北朝鮮に対して具体的行動をとるよう強く要求していく。特に、拉致問題については、北朝鮮に対してストックホルム合意の履行を求めつつ、一日も早い全ての拉致被害者の帰国に向け、全力を尽くしていく。