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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本インドネシア国交樹立60周年に際する安倍晋三内閣総理大臣及びジョコ・ウィドド・インドネシア共和国大統領のメッセージの交換

[場所] 
[年月日] 2018年1月20日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

日本インドネシア国交樹立60周年に際する安倍総理メッセージ

ジョコ・ウィドド大統領閣下、

インドネシア共和国国民の皆様、

 我が国とインドネシア共和国との国交樹立60周年に当たり、日本国民及び日本政府を代表して、ジョコ・ウィドド大統領閣下及びインドネシア共和国国民の皆様と共に、この記念すべき慶節を迎える喜びを分かち合いたいと思います。

 60年前の1958年に両国が国交を樹立して以降、心と心のパートナーとして、日本はインドネシアに寄り添いながら、インドネシアの発展を支えてきました。今日では、日本はインドネシアにとって最大の投資国のひとつとなっているほか、学生や草の根の交流も活発に行われております。

 スマトラ島沖地震や東日本大震災をはじめ、大きな自然災害に見舞われた時には、その都度、相互扶助の精神でお互いに支援の手を差し伸べ合ってきました。東日本大震災の際には、インドネシア学生団体のen塾が「桜よ」という歌により、日本国民を勇気づけてくれたことは、今日でも忘れていません。

 インドネシアは、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有し、共に広大な海洋に囲まれた海洋国家として、地域及び国際場裏の課題に共に取り組む戦略的パートナーです。私はインドネシアとの関係を非常に重視しており、第2次政権発足後、初めての外遊の訪問先としてインドネシアを選びました。この60周年の記念すべき年を契機として、日本とインドネシアの協力関係がますます発展することを、心から期待しています。

 昨年11月、東アジア・サミットの際にジョコ大統領と会談した際、インドネシアの高校生が作成した、日インドネシア国交樹立60周年の友好のシンボルとなるロゴマークを発表しました。両国の友好の未来を担うのは、こうした若い世代の皆さんです。私はJENESYSなどの人物交流プログラムを通じた青年交流を重視しており、若者を含めた国民交流が深まってきていることを、大変喜ばしく思っています。若い世代の活躍の下、両国の絆が今後ますます強くなっていくことを願います。

 最後に改めて、日インドネシア国交樹立60周年に心からのお祝いを申し上げるとともに、ジョコ大統領閣下とインドネシア共和国の皆様のますますの御発展と御健勝を心から祈念し、お祝いのメッセージといたします。

平成30年1月1日

日本国内閣総理大臣

安倍晋三


日本インドネシア国交樹立60周年に際するジョコ大統領祝辞

 インドネシアと日本の国交樹立60周年に当たり、インドネシア共和国政府及びインドネシア国民を代表し、閣下、そして日本政府の皆様に、心から御健勝とお祝いを申し上げることを光栄に思います。

 60年の期間は、両国の成熟した友好と協力の道のりの重要な節目となります。日本インドネシア国交樹立60周年は、将来に向け、両国の友好と活力に満ちたパートナーシップを強化させる出発点として、この60年間で共に達成した様々な進歩を振り返る戦略的な機会となります。

 1958年以降、インドネシアと日本は、政治や経済の分野のみならず、市民の間でも、緊密かつ多方面での友好と協力関係を築き上げてきました。両国は、地域や国際的な様々なイニシアチブや協力にも積極的に関わり、これからも地域の平和と安定を構築するために協力していきます。

 インドネシアと日本の友好と協力の緊密さには、「ブナン・メラ」、日本語では「赤い糸」の哲学が反映されています。それは、対等なパートナーとして協力していくため、相互理解と相互信頼の原則に基づいた心と心の関係を表しています。

 両国の60年間の経済分野の協力も、とても良好です。現在、日本はインドネシアにとって第2位の投資国で、主要な貿易相手国のひとつです。この数年で、両国の人的交流も目覚ましい進歩を遂げています。

 私は、閣下と共に、両国の友好と協力の絆が将来により緊密になるように、盛大にお祝いを開始することを祈念します。また、私は、2018年の重要な機会が、インドネシアと日本の間の協力の具体的な成果を生み、両国国民にとって記念に残る贈り物となることを祈念します。

 両国を結ぶ「ブナン・メラ」もしくは「赤い糸」の絆は、今までに、もつれたり、絡まったこともありました。しかし、互いに尊敬し合い、誠実な心から生まれた両国の友好と協力に鑑み、私は、この友好の絆は決して切れることはないと信じています。私は、インドネシアと日本は、将来に向けて共に働き、共に前進する心と心の友人であると信じています。

 最後に、インドネシア共和国政府及びインドネシア国民を代表して、閣下のますますの御健勝を祈念します。私は、閣下、日本政府、そして日本国民と共に、2018年の日本インドネシア外交関係の重要な機会を盛り上げることを祈念します。

2018年1月20日

インドネシア共和国大統領

ジョコ・ウィドド